第三十三話 日本人は勤勉

日本人が勤勉である事は有名です。何かがあれば、どんどん追求して、より良い物を造ってしまいます。遊びもそうです。ゴルフのスウィングのフォームを考えます。釣りなんか典型的で、いろんな工夫して、どこまでもより良い釣りを目指します。その場を、その場限りで楽しむというより、もっと工夫して、もっと何かを得たいと考えます。それが日本人の良さではないでしょうか。

だから、反面、ヨットで何もせずにぼ〜っと一日中過ごせる人は少ない。それが宴会だろうが、何でも一生懸命したくなるのが日本人です。ですから、ヨットを別荘的に使える人は少ないとも言えます。ですが、前話でも書きました通り、クルージング派にとっては、出航しない時のヨットとの付き合い方は重要かと思います。本当は皆さんそういう事を考えて、ヨットにいろんな装備を設置しているのだと思います。ならば、せかっくの装備を生かす使い方を考える事が必要ではないでしょうか。

まずは、できるだけ頻繁にマリーナに行く事から始める。何もする事が無かったら、エンジンかけて
オイルの循環を図る、バッテリーの充電をする。乱れたシート類をきちんと整理する。サビなどどこかに出ていないか、いろんな部分に潤滑材を吹き付ける。掃除をしてみる。普段読めなかった本を読む。窓を全部開けて風を通す、要らない荷物を撤去する。整理整頓して掃除をすると、たいていのヨットがきれいになります。そしてまた乗りたくなる。それだけでも行ったかいがあります。きれいなヨットはいつもきれいにしておく。

たくさんの装備を持つヨット、どこに何があるかご存知でしょうか?温水にしても、清水タンク、温水タンク、エンジン、そして蛇口へ、配管がどこを通って、どういう風に温水を造るのか?トイレは?エアコンなんかはもっと複雑です。細かいところまで知らないにしても、どこに何があって、どういう配管や接続が成されているかぐらいは知った方が良い。トラブルがあった時、どこを見たら良いかが想像できるようになります。まずは、自分のヨットを熟知する為にマリーナに行く。

マリーナライフはそれだけでは不十分ですね。マリーナには、来るだけで楽しくなる何かを期待したくなります。誰も居ないマリーナは寂しすぎます。何かのイベントがあるわけでは無いが、何か楽しさを感じるマリーナ、そういうマリーナにヨットを置きたいものです。とは言っても、こればかりは自分ではどうしようも無い。ですから、自分で工夫する必要があります。遊びを造る必要がある。

ある方はオーディオに凝っていましたね。他の装備はともかく、オーディオには良いのを設置して、好きな音楽を堪能しておられました。適当にマリーナでの社会が形成されて、コミュニケーションを取りながら、それでいてプライバシーも守れる、そういう仲間が要るものです。なかなかひとりでは過ごせませんね。難しい問題です。本当はやっぱりヨットとセーリングに熟知していく。そういう姿勢が最も充実できるのではないかと思います。もし、他に何かする事が無いのならば。そういう意味では凝り性の人がヨットを趣味にすると良いと思います。

ヨットが自分の家の庭先にあったなら、何もヨットで何かをするなんて考える必要は無いと思います。しかし、1時間とか2時間かかってマリーナに行かなければならないのなら、ピクニッククルージングだけでは、めったに行けるものでは無い。やはりセーリングをスポーツしないのなら、ヨットで、マリーナで過ごす何かが必要かと思います。でなければめったにマリーナには行かなくなりますし、そうなれば汚れまくって、久しぶりに行ったら、汚くて乗る気も失せる。それだけならまだしも、トラブルが出たりという事もあります。ですから、出すか出さないかは別にして、もっとマリーナに行きたくなる何かを見つけてほしいと思います。

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