第52話 J105
もう10年ぐらい前でしょうか、このヨットがデビューしたのは。もちろん、今でも
建造されています。デザイナーはジョンストンという人で、幸い少し話しをした
事があります。このヨットは35フィートあるのですが、当時としては活気的でし
た。非常に好きなヨットでした。このサイズなのに、天井は真っ直ぐ立てる高さ
は無く、内装も非常にシンプル、それに今では一般的ですが、バウスプリット
をバウから出してジェネカーを展開する方式です。                

デザイナーは確か、このヨットをお父さんとお母さんと子供で乗って、速くて、
簡単に走らせるヨットと強調されていました。まさしく、私が推奨するスポーツ
ヨットです。でも、皆はこれをレースにしか使わなかった。レーサーという位置
付けにしてしまった事は残念です。一般ユーザーはこのシンプルで狭い内装
のヨットには見向きもしなかった。今ではレーサーとしては時代遅れ、アメリカ
ではワンデザインとしてのレースをやっているようです。これは一般ユーザー
がスポーツとして楽しむヨットとしては最高ではないかと思うのですが、だから
レーサーでは無く、クルージング派の方々への新しい提案として捉える事が
できれば、もっと違った方向へ行けたと思いますね。


このように、ちょっと速さを強調した先鋭的と思われるヨットは全部セーサーのジャンル
に入ってしまう。これは残念な事です。クルージング派の方々は最初から検討外にして
しまうんですね。これは売る側も同じです。


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