第47話 意識操作
意識というのは怖いですね。知らない間にこれが正しい、これが間違っている
と思ってしまう。怖いのは自分が正しいと思っている証明を無意識に探してし
まうという事です。自分が間違っているかもしれないという可能性は意識して
いないと、無意識には正しい、間違いを事前に決めているという事です。本当
は正しいも間違いも無い。異なる考え方があるという事ではないでしょうか。 

テレビでは常に様々な商品が宣伝されています。これは意識操作ですね。必要
便利という意識を植え付けられます。無意識でいると無限に必要な物が出てくる。
買ってみると案外必要ではなかったという事も多々あります。それで家の中は、
そういう一見便利そうな、必要そうな物であふれ、やがてはゴミとなる。そうこうし
ながら消費者も少しづつ賢くなり必要なものと不要なものを学ぶ。そうするとさらに
企業はこれでもかと、あの手この手で宣伝を繰り返す。常に意識操作の中に居る
わけですから、我々は気をつけないと身包みはがされてしまいます。       

一旦、意識の中に入りこまれると、そう簡単には抜け出せない。意識は自分の物
かもしれませんが、自分でも自由にならないのです。だから、余程注意が必要で
す。自分で自分の意識を操作した方が良いですね。これも変な話ですが、他人に
意識操作されているのですから、それなら自分で操作した方が良い。       

それで、他人の話は考え方のひとつだという事を意識します。正しいか間違ってい
るかでは無く、あるひとつの考え方です。自分の考え方に採用するかどうかは自分
の責任で行う、と意識しておくのが良いと思います。                 

ヨットの乗り方にしてもそうです。もし、造船所が速いヨットばかりを強調して宣伝す
れば、そういう乗り方が主流になるでしょう。クルージングにはあれもこれも便利と宣
伝すれば、それが主流になる。事実、そうなってきています。つまり、消費者が求め
るからこうなったのでは無く、造船所が皆で操作をしていると考えられないでしょうか。
情報が発達した今日の弊害のような気がします。もし、情報が発達していなかったら、
自分で最も自分に合った乗り方というものを模索して、もっと快適なヨットライフを楽し
んでいたかもしれないのです。                                

そこで提案したいのは、もっともっとバラエティーに富んだ乗り方があっても良いはず
だという事です。人それぞれですから、自分が楽しめれば良い。ヨットはこうでなけれ
ば、ああでなければという概念を捨てて、好きなように乗れば良い。もう誰にも操作
されない。                                           

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