第31話 理想のヨット

全く個人的になりますが、私の理想のヨットはアレリオン28なんですね。ちょっと宣伝にも繋がりますが、
それはご勘弁頂くとして、ここはアレリオンについてお話したいと思います。

当社の新艇のページに記載しておりますが、アレリオンは名艇として博物館にも飾られているヨットなんです。
そんな事はどうでも良いのですが、アレリオンの魅力は第一にその美しさにあります。ヨットは美しくなければ
いけません。オリジナルは木造でロングキールだったんですが、現代のアレリオンはFRP製に変わり、キール
も現代のフィンキールとなりました。リグも新しいリグで、結果、帆走性能の高いヨットになっているんです。

それにこのコンセプトの割りきり方が見事です。通常の大衆を狙った造船所ではまねのできない思い切りで、
これも気に入っています。シングルハンドをいかにやり易く実現するか、という点に考慮され、セルフタッキング
のファーリングジブ、メインセールはフルバテンですが、通常フルバテンのメインセールはセールを上げるに従っ
て、セールの自重もさることながら、バテンがマスト側に押されて、その抵抗で上げるのがきつくなってきます。
ところが、このメインセールのスライダーにはベアリングが入っており、上げ下げもスムース。さらに、メインシート
がコクピットのポストにリードされ、ティラーを持ったまま手が届く。セールはこれにジェネカーを付ければ、最高
ではないですか、実に気軽にシングルハンドで縦横無尽に走れるし、速いのです。

シングルハンドの条件としてもうひとつ重心の低さも重要です。船体の重心の低さ、それにバラストキール45%
が加わり、ライフライン無しで安心して走れる。こんなヨット、ちょっと他には無いです。船体もSCRIMPシステム
という工法で、かの有名なヒンクリーと同じ工法、通常のFRPハンドラミネートより倍以上の硬さとなるそうです。

皆さんが割りきれない理由はキャビンの広さにあるようです。昨今のヨットの広さに比べたら、キャビンは実に狭い。
でも、私にとっては全く問題無い。日本一周とか九州一周しようとか、そんな気はさらさら無い、せいぜい一泊か二泊
ぐらいで充分。これなら自分と一体感が持てると思っています。手足のごとく乗りまわして、オフシーズンには、
木部にたっぷりとニスを塗り、いつも美しいクラシックなスタイルを維持していきたい。クラシックなんですが、ちょっと
スポーツ的に高性能スポーツカーを乗りまわす気分で乗りたいですね。これが私の理想です。大きなキャビンなんか
要りません。冷蔵庫、これも不要、無い方が良いとさえ思っています。

皆さんも同じようなヨットでは無く、自分の理想のヨットを想像してみませんか。一生乗りたくなるような、自分だけの
スタイル。ヨットはそうしてスタイルを持った方が絶対楽しい。外野の批評家などはどうでも良い、家族などに文句は
言わせない(どうせめったに来ない)、自分の独自のスタイル、我侭でも、最高のヨットライフになります。そしたら、また
仕事も、人生も充実しようと言うものです。是非、自分のスタイルを見つけて追求して下さい。

 ALERION 28

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