第21話 ヨットへのこだわり

ヨットというものはちょっと特別と言うか、何でも良いというわけにはいかないですね。
趣味の世界、夢をもたらす、単なる遊びではありますが、ついこだわりたくなります。
何にこだわるかは人それぞれでしょう。性能、デザイン、見かけ、メインテナンスが少
なくて済む、大きさ、もちろん価格は重要ですが、予算の許す限りこだわってみたい
ものです。

個人的にはクラシックなデザインが非常に気に入っています。現代風の良く吟味された
デザインもそれなりに美しくはありますが、クラシックなデザインは使い込んでいくほどに
色あせる事無く、使い込めば使い込むほどに味が出てくる。これはメインテナンスをする
甲斐があるというものです。使ってできた傷なども、それなりに美しさの一部となる。この
味わいは現代風のヨットには出てきません。メインテナンスをする喜びも味わえます。

性能面で言えば、確かに最新デザインの方がスピードは出ます。しかし、クルージングと
いう観点から言いますと、決して新しいデザインの方が優れているとは思いません。数十年
前にデザインされたヨットは殆どが外洋性を考慮されていました。という事は時化に強く
安定性に優れています。微風では遅くても、風が強くなってくるに従い真価を発揮します。
風に対するキャパシティーが大きいので、早め早めのリーフという心配が無いのです。
クルージング派には安心して乗れますし、セーリングの醍醐味も味わえます。

ただ、最新デザインが幅を大きく取り、キャビンの天井を高く取って、キャビンの大きさを誇示
する一方、クラシックなデザインは幅が狭く、キャビンも低くデザインされています。最新モデル
のキャビンの広さは驚異的です。でも、一方では風圧面積が大きいという事にもなりますし、
重心も高くなる。それに幅が狭いという事は水線以下が深くなるのです。この方がソフトになり
乗り心地は良くなります。

いずれにしろ一長一短がありますが、美しい事、外洋性、乗り心地の良さ、そしてメインテナンス
が好きなら絶対お奨めです。

戻る