第119話 ヨットが普通である為に

ヨットが日常のひとつとして捉えるのには少々難しいかもしれない。まして大型艇ならなおさらの事。
バブルのお陰で一気にヨットが増えた事は歓迎すべき事ですが、一方で大型化が進みすぎた感も
あります。回りが大きなヨットになっていくなかで、自分のヨットも小さいのでは満足しなくなった。
ヨットに乗ろうとされるくらいの方々はパワーを持っています。でも、大きくなり過ぎて特別視する度合い
も高くなったのではないでしょうか。

特別なものと考えると、乗る事も特別になり、乗る為に準備も特別となる。特別な事をする満足感もある。
でも、これが日常として行える事では無い。特別な事をするのは特別な日になる。だからこれをやめて
日常のものにする事をお奨めします。特別な準備はしない。気が向いたから出る。そういうライフスタイル
の方が気軽なのではないでしょうか。

セーリングを日常のものにする為にはサイズは小さい方が良い。いや、自分でやや小さめと感じるくらい
と言いましょうか、人によります。キャンピングカーを買うと、日常の車と違って、どこか遠くへ行きたいと思う。
家族を連れて、遠くへ、遠くへ、暇があればさらに遠くへ。しかし、これでは日常にできない。キャンピング
カーは特別なものです。近くにドライブに気軽に出かけるには、図体が大き過ぎる。

大型艇はキャンピングカーのようなものです。あれば確かに便利、でも特別ですから、特別なイベントとして
しか乗らなくなる。これは時間が年間を通してたっぷりある方に良いが、忙しい方向きでは無い。仮に引退
して時間がある方でも、なかなか使いこなすには難しい。もっと小回りのきくセダンなら良いですね。それも
夫婦二人ならスポーツカーなどはいかがでしょうか。年配の方がスポーツカーに乗るなんてのはかっこいい
と思います。そこで、ヨットも同じように、小型で小回りのきく、高品質ヨットなんていかがでしょうか。日常的
にセーリングを楽しむ。何ら特別なことでは無く、日常的に週に1回か2回程度、ご夫婦でセーリングなどと
しゃれてみてはいかがでしょうか。これからの新しいライフスタイルとしてお奨めです。

外洋に出るとか日本一周するとか、そういう特別な事は特別な方々にお任せして、自分達は気軽に、近場
をセーリングして楽しむ。特に春と秋は風も良く、暑くも無く、寒くも無く。夏は夕方のいイブニングセーリング。
そして冬は少しピリット風が冷たく、これも爽やか。風も無く涼しい時は掃除したり、ニス塗りしたり。夫婦で
覚えるヨット。こういうのも良いと思いますが、どうでしょうか?特別な所に遠出しなければヨットじゃないなんて
思わないで下さい。湾内で充分。お陰様で日本では、湾内でも充分エキサイティングに楽しめるだけの風と
波を提供してくれます。わざわざ遠くへ出かけなくても最高の走りさえも体験できます。そして、しんどくなったら
いつでもすぐにホームポートへと帰れます。これで良いじゃないですか。大時化の中を何十時間も走るとか、
そういう経験無くて良いじゃないですか。そんな経験は辛いだけです。ヨットに乗るからには、といってそんな体験
する必要無いです。

それよりセーリングそのものを、最も気持ちの良い部分だけを味わう乗り方でも良いと思います。偉大なるヨット
マンになる必要など全く無い。そう思いませんか?

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