第五十三話 条件を下げる

それで、ヨットを面白くする為には、できるだけ条件を下げる事が必要だろうと思います。自然条件は神様にお願いするとして、まずはできるだけ少ない人数で操船ができる事。あてにする数をできるだけ少なくする必要があります。つまり出航回数を増やす事になります。できればシングルハンドという事になる。

遠くに行くには日数がかかるので、その日、一日で考えると出れる。さらに、午前中、午後だけなどという考え方もある。マリーナまで遠いとなかなかこうは行かないでしょうが、できる範囲で、出れる一日の時間より回数を優先した方が良い。その方が気軽だし、他の事もできて、またいろんな自然条件にも遭遇できます。とは言っても、一日、最低3時間ぐらいは必要でしょうかね。3時間のセーリングを3回やると、9時間。1日で9時間乗るという事もありますが、3回乗ると、3回とも自然条件が異なりますので、それだけバラエティーに富んだ帆走ができるとも考えられます。

トータルしますと、これまで言ってきました。シングルハンドのデイセーリングという事に行き着きます。それを気軽に、出航回数を増やして、面白がる。こういう乗り方をお奨めしています。日常での乗り方です。これを基本に、あとはメリハリをつけて、家族サービス、ゲストの招待、遠出、そういう事を織り交ぜながら、トータルで面白く演習していく。でも、ベースはデイセーリングのエキサイティングなセーリングにある。これが面白くてたまらないから、家族サービスだって、面白く演出できるようになると思うのですが。それで、家族サービスをする為のヨットにしますと、今度はエキサイティングなセーリングがベースにはしにくいかもしれません。でも、家族は快適かもしれない。どちらを取るかはオーナーの考え方次第です。

だいたい女性はエキサイティングな乗り物にはあまり興味が無い。女性の興味は他にありますから、通常は興味のある事をやらせておいた方が良い。無理矢理引っ張ってきても、あまり良い結果にはならない。ところが、一家の財布を握るのは女性である事が多く、女性が気に入るヨットが売れる。でも、めったに乗らない。もっと男に自由を与えていただきたいですね。

でも、ひとつ。ヨットが流行るには女性が必要なのではないかとも思います。先日、ソフトバンクの野球を見てきましたが、スタンドは超満員。観客の女性の多い事。また、先日の亀田兄弟のボクシングの試合にも、多くの女性が見に来ていた。結局、女性が居ないと男が減少し、世の中では流行らない。そこで、1ヶ月1回か、2ヶ月1回か、レディースデイを作って、天候の具合を調べ、程良い条件を探し、是非、女性を快適に乗せてあげましょう。或いは、マリーナで過ごす、ヨットで過ごす、何か女性が喜ぶ事をしてあげましょう。

だからと言って、女性好みのヨットにしようという話ではありません。それは演出次第です。北欧での話。小さなヨットで、ワイン一本持って、気軽に夏の夕暮れにサンセットクルージングに出る。そういうのが流行ってるという話を聞きました。たまに、そんなサービスもしてあげるのも良いんじゃないでしょうか。シングルハンドが日常なら、こんな事は朝飯前です。ヨットが女性好みであるから、それで良いわけではないでしょう。要は気持ちの問題です。ヨットは女性ですから、それをかみさんに選ばせて良いわけが無い。ヨットは男のおもちゃですから、男心をくすぐるようなのが良いんです。一部女性のヨット愛好家にはごめんなさい。一般的にです。

話がちょっとそれてきましたが、条件をできるだけ下げる。そして気軽に出れる回数を増やす。ヨットを楽しいから、面白いに変える。それで、あなたは一生面白い人生を送る事ができます。

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