第三十七話 団塊の世代

2007年から第一次ベビーブームと呼ばれた時期に生まれた世代の方々が、仕事からの引退が始まると言われ、700万人ぐらいおられるそうです。これだけの大人数が、数年の間に現役から退くとなると、この影響は確かに大きいと言えるでしょうね。彼らの熟練技術をまた再び仕事に向けるという方法もありますし、或いは、趣味を生かした市場もある。60歳というと、昔なら年寄りというイメージがわきますが、今の日本ではまったくそういう事は無い。平均寿命が80歳ぐらですか、そうすると、生まれて20年が成長期で、次の40歳までは、仕事を覚え、家庭を持ち、次の60歳までに子供を育て上げて、仕事面では指導の立場にもなる。そして、再び、60歳にして、自分の時間を持つ。これまでは、家庭の為、社会の為、いろいろ貢献してきた方々が、今度は自分の為に時間を使っても良いのではないでしょうか。もちろん、熟年離婚にならないように、奥さんも忘れるわけにはいきませんが。

さて、老人というと介護とか、年金とか、将来の心配とか、心配すればきりがありませんね。心配して何かが改善されるのであれば、おおいに心配するのも良いですが、いくら心配しても変わらないものは変わらない。できる事をすれば、後はあるがままと割り切る事ができれば、これからの人生は楽しくする事も可能ではないかと思います。

60歳にして、何かに挑戦するのも悪くない。すこしづつ、そういう方々が増えてきています。今更、この歳でとは思わないでしょう。考えて見れば、これから始める事に、今からプロになろうと思う事はないでしょう。楽しめれば良い。そう思えば、実に気楽ではないですか。何かを達成しなければならないのなら、これは結構ストレスにもなる。純粋にプロセスを楽しめるというのは、実に良いです。ひょっとすると、これからの時期が人生を決めるのかもしれないとも思えます。これからどう過ごしていくか、とても重要ではないでしょうか。

何に挑戦するかは自由ですが、音楽関係、スポーツ、これまでの人生をふりかえって、自分史の本を書いてみるのも良い。当然、私はヨットをお奨めします。日本人は勤勉な国民ですから、何もしないというのは我慢ならない。それで、何かに夢中になる事がもっとも日本人らしい、それも充実した生き方であるような気がします。何もしない、と言うと、欧米人は浜辺で、プールサイドで、一日中、読書をしている光景が目に浮かびます。日本人には向かないような気がしますね、こういうのは。時間が無いからじゃなくて、国民性ではないかと思います。それで、やっぱり日本人には何かに夢中になる事が似合う。

それで、ヨットやりませんか?経験無くても大丈夫です。簡単です。でも、難しい。エントリーは簡単で、奥が深いという意味です。ヨットは海、海は怖いという図式なら、あらゆる技術と知識を得て、それからとなりますが、そんな物は不要。マリーナを出て、とりあえ行きたい方向へ走って、帰ってくる。この程度なら簡単にできるようになります。これから、まずは10年間遊ぶつもりで、ヨットを始める。暇はありますから、しょっちゅう乗る事ができます。そうしたら、あっという間にベテランと称する方々と同じ域に達する事ができます。

過去に数人のそういう方々にヨットをお世話した事がありますが、全く初めてから始められて、4,5回も乗れば、だいたいみなさん自分で出て帰ってこられるようになる。そして、もっと面白くなるのが、これからです。そして、10年後には、自分のヨットを自由自在に操れるようになる。そう、遠くに行かなくても湾内でも充分に、ヨットの醍醐味が味わえます。ヨットをたいそうな物にせず、身近において、デイセーリングをサイクリングのようにこなす。なかなか良い冒険ではないでしょうか。
どっしりした安定感のあるヨットで安全を確保しながら、風の中をスイスイ走る。新たな世界の始まりです。10年たっても極める事は無理です。でも、その先はまた、その時考えましょう。今はこの
10年、いや5年区切りでも良い。子供にかえって、夢中に遊ぶ事ができれば、幸福でしょう。夢中になれる遊びは生きるエネルギーをチャージしてくれます。

さあ、ヨットをやろうじゃないですか。

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