第十三話 セールの考え方

最近のレーサーなどを見ますと、ノンオーバーラップジブというのが出ています。
それに対して大きなメインセールです。これは十二話のアレリオン38も同じで
すが、クルージング艇(スポーツ)にとってはジブをセルフタッキングにするという
事ができる。これはシングルハンドの場合、非常に大きなメリットをもたらします。
ステアリングさえきれば、ジブもメインセールと同じように自動的に左右に動いて
くれます。実に良いシステムです。でも、欠点はセールエリアが小さくなるという事
になり、微風での走りは遅くなる。これはレーサーでも同じ事です。

そこで、メインセールをでかくする事によってセールエリアを稼ぐ。バックステーが
通常はあるので、セールをでかくはできなかったが、今の技術ではそれが可能と
なりカーボンマストを採用する事によって、またスプレッダーも大きく、長くスウィン
グさせる事によって、バックステー無しを実現し、それで大きなローチが取れるよ
うになりました。この事はレーサーに取ってもセールを数多く持つ必要も無くなった。
クルージング艇はこれでOKなのですが、レーサーはもっと速く走らなければなりま
せんから、ダウンウィンドではジェネカーなどを展開する。そうすると、ダウンウィンド
においては従来のヨットよりメインがでかいのですから、断然有利なのです。

つまりレースの世界もクルーは少なめ、より速く、扱いやすく、そういう動きがあり、
クルージングの世界でも、良い所は採用できるわけで、シングルハンド、ショート
ハンド、デイセーリング、そういう世界では漂うようなセーリングより、よりスポーツ
した方が面白いので、取り扱いのし易さと帆走性能を両立させる方向で動いてい
ます。

それに電動ウィンチがついて、メインセールもブームファーラーなんて事になると、
これはもう楽チン操作、デッキの上でハッスルしなくても、面倒くさい操作も何て事
は無い。もうちょっと引き込みたいけど、もうしんどいから良いやと思った事無いで
しょうか?こんなヨットなら、面倒くさいと思う事は無い。ちょっとボタンを押すだけで
電動や油圧などが作動し、簡単に引き込んでこれる。これなら一人でも楽勝でしょう。

おっと、機械を使うと壊れた時にどうするんだという人が居る。確かにそうかもしれない。
でも壊れた時の事ばかり心配するならヨットには乗れない、いや外には出れない。でも、
ご心配無く、ちゃんとマニュアルでも動くようになってる。

クルージングだから速く無くて良いという方も多い。しかし、それはロングに行く時では
問題ないかもしれない。何しろエンジンが殆どだから。でも、日常のデイセーリングでは
速い方が面白いのです。例え、クルージングでもスポーツした方が面白い。でも、操作
が大変になるのは実勢から離れてしまうので、それを機械で補う。楽にシングルで操作
できるなら速い方が良い。大きなヨットになればセール上げるだけでも大変ですが、大き
なヨットにはそういう仕掛けをしながら、これらを実現していく。そういう時代です。

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