第九十七話 ビルジ

ビルジには海水もあれば、清水もある、オイルが混ざっている場合もある。そのヨット
のコンディションを知る事ができる。何にも溜まっていない、完全なドライなら、その
ヨットに漏れ箇所は一切無いという事ですから、良いわけです。ですから、ヨットに
来た時にビルジを確認して、帰る前にビルジを確認するという習慣は良い事でしょう。

前に見た時とビルジに変化があるなら、その原因がありますから、その原因を知って
おく必要があります。昨日の雨がマストを通って入ったと解るならOK,スタンチューブ
から走っている時だけ入ったのならOK,それでも、いつもと同じパターン以上に入った
のなら何故か、そういう事を気にした方が良い。それによって未然に防げるトラブル
もある。

基本的にビルジはどこから来るか。デッキスルーのマストならば、マストの中を通じて
雨が入る。スタンチューブから入る。通常はこの2箇所しか入る所は無い。そして、
入った水が海水か清水か舐めてみて、判断すればトラブルが無い限り、原因はすぐ
に解ります。ところが、雨も降っていないし、スタンチューブの漏れも無い。それなのに
ビルジが溜まっているとするなら、他の原因を追究しなければなりません。清水タンク
や配管からの水漏れとか、可能性を全部チェックすれば、大事に至る前に処理ができ
るでしょう。その為にも、普段、ビルジを見るという習慣が必要です。

マストがオンデッキなら、マストから雨水は入らない。それにスタンチューブがPSSか
或いはセールドライブのエンジンなら水は入らない。それなら、ビルジは完全にドライ
でなければなりません。エンジンルームがクリーンで、ビルジもいつもクリーンなら
何かあるとすぐに発見できます。メインテナンスの最初はこういうクリーンな状態を
造るところから始まると思います。初期発見は簡単な修理や調整で終わる事が、ほった
らかしたばっかりに大きな出費となってしまう事があります。

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