第五十二話 ボートショー

世界はボートショーシーズンに入ってきました。イタリアのジェノバで10月8日
からスタート、ここのボートショーはすごいです。約2,000艇のヨット、ボート
が展示され、陸上とフローティングがあります。

  

まあ、その規模たるやすごいもんです。不況でも、何でも、こういう世界には
関係ないのか、と思うほどです。特に、メガヨットなんかは、非常に好調だと
か、世界経済がどうであろうと、儲かっている奴はどこかに居るもんです。

こんな中に居ますと、50フィートがでかいなんて思わなくなる。我がイタリア
のコマー社も今は展示で大忙しのようです。日本もバブル期のボートショー
はここまでは無いにしろ、大変なものでした。経済の収縮とともに、その規模
は小さくなりましたが、再び、各地のフローティングショーなるものが開催され
ています。

市場規模といえばそれまでですが、根本的に遊びに対する感覚が異なる。
人生を楽しく過ごすのが良しとされていますので、仕事オンリーで遊びだけを
我慢するという感覚は無い。

日本もここまで先進国の仲間入りしたのですから、もう少し遊びを悪という定義
からはずして、人生を潤すものという捉え方をしても良いのではないか。
遊ばないで、仕事ばかりで、国際競争に勝っていくのは、ヨーロッパからすると
変に見えるようです。ところが、今、生産性という面から見ますと、ある記事で
は日本は確か11位、イタリアの方が上位にランクされている。これはどうした事
か、イタリアという国は貧しいと見られるが、歴史もあって、表面に出てこない
部分が大きいとか、EU統合に際して、諸条件を満たさなければならなかったのが
あっという間に達成したとか、結局、裏に隠れた物がちょっと表に出るだけで、
経済力はぐんと変わる。それがイタリアらしい。所得もヨーロッパで5番目だそうだ。

人生を楽しむのがイタリア、その為に遊びがあり、仕事がある。楽しいのが先決
なのです。だから、楽しむ為にはいろんな工夫もする。レストランで2時間も3時間
もかけるのは楽しむ為、その為にヨットもある。

バスの運転手が客と話し込んだり、時間がルーズだったり、でも、年寄りをバス停
以外でもひろってやったりする。確かにルーズな面があるのだが、何か暖かさが
ある。全てを経済で割り切るというような事も無い。そんなのは楽しく無いからだ。

もっとイタリア人のように遊んでみましょう。もっと気軽に、楽しんでみましょう、せめて
ヨット遊びをしている時ぐらい。

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