第九十六話 これからのヨットライフの提案

前話を書きながら思いました。例えば、これからヨットを始め様という方も多いと思います。或いは、
これからシングルハンドを目指したいと思う方もおられるでしょう。そういう方々には、キャビンで過ご
すというヨットライフもあれば、セーリングを楽しむというヨットライフもあります。遠くに旅に行きたい
と思う事もあるでしょう。でも、欠かせないのがメインテナンスです。そのメインテナンスを面白くして
時にはヨットを磨くという遊びもして頂きたいと思います。1日中やらなくて良い。1時間でも2時間で
も良い。少しやって、後はコーヒーでもビールでも飲んでいて良い。あるいは、軽いセーリングをし
てきても良い。

今日はエンジン、今日はどこどこ、と少しづつやりますと、必然的にヨットがわかる。それにセーリング
をしていますから、実際、どこをどうやったらもっと使い易くなるか、というアイデアが浮かんできます。
構造がわかって、理屈がわかってきると、そういう事が必ず出てくる。それがまた面白くなる。こうし
たい、ああできたら、どうすれば出来るか考えて、やってみる。こうやって進化していきます。

これからは、ヨットの持つあらゆる側面をいかに楽しむか、人の何倍も楽しめるようになります。今まで
はセーリング、セーリングと言ってきました。それはあまりにもみんながセーリングしないからです。
これからは、セーリングはもちろんですが、メインテナンス、メインテナンスと言いましょう。これは嫌な
メインテナンスでは無く、面白がるメインテナンスです。自分のヨットを知る為でもあります。

誰でも、きれにニスが施され、美しいヨットをみると、良いなと思います。それが自分のヨットならもっと
良いでしょう。でも、大きなヨットは簡単じゃない。手ごろなヨット、そうですね、25フィートからせいぜい
大きくても30フィート以下ぐらいでしょうね。ヨットによっては30フィートでも大きいかもしれませんが、
デッキにチークをあしらったヨット、チークデッキもフルではちょっと大変なので、コクピットにはるぐらい。
その程度なら、一人でも自分でできます。チークのサンディングは大変かもしれませんが、最初の
一度だけはきれに下地を出してしまえば、後は、メインテナンスを長期間さぼらない限り、大変な事は
ありません。みんなが大変だというのは、何年も何年もほったらかしにするからです。1年に1回、軽く
塗るだけで、ぴっかぴかに保つ事ができます。きれいになったチークの下地に、ニスを塗ります。これは
心踊る作業です。最初だけは10回以上塗ります。大変じゃありません。1日で終わらせようと思うから
大変なのです。少しづつで良いんです。塗れば塗るほど、どんどんきれいになっていく。自分のヨットを
見なおすと思いますよ。

シート類、かびだらけ、真っ黒に汚れ、硬くなったシート。そんなロープでも、一旦はずして、清水につけ
て塩抜きして下さい。或いは、新品に交換してやると、これもヨットが見違えてきれいに見えてくる。
誰でもきれいな物がすきなのですが、汚してばかりできれにしない。クリーニングにマイナスイメージを
持っているんじゃないでしょうか?大変だ、と思うからじゃないでしょうか?一度、よしやってやろうと
思って、メインテナンスの日、或いは時間と、決めてやってみる。実はとて面白い事に気づくはずです。

これからは、是非、メインテナンスを楽しんでください。好きな道具はピカピカに磨く。どの趣味の世界
でも同じでしょう。明日の釣りを楽しみに竿を磨く。リールの手入れをする。嫌々やってるわけではあり
ません。楽しみながらやってる。ヨットでも同じでしょう。快走セーリングを楽しむ為に、道具の手入れを
遊ぶ。

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