第七十七話 スワン

ご存知スワン。ヨット乗りなら誰もが知っているあこがれのヨットです。つい先日、このヨットを回航して
きました。フリーボードが低く、キャビン天井にあたる部分が突出していないので、かなり重心は低い
それにキールバラストは40%です.マリーナに係留中に他のヨットのマストがゆらゆら揺れているのに
このスワンだけは揺れていない。さすがですね。

回航ですから、遊びながらセーリングを楽しんで来る暇はありませんでしたが,時折来る波にぶつかっ
ても,実に頼もしいです。とにかく船体ががっちりしている。長くのっても疲れないですね。値段が高い
だけの事はあります。回航を終えて、上架したのですが、キールだけに全重量をかけても、船体が
たわんでこない。全くです。以外でしょうが、結構、キールの前後の船体が重みで下がってくるという
のは珍しくは無いんです。さすが、思ったものです。

このヨット船齢20年。このヨットには全く問題が無い。ちょっとした備品も20年ですから、故障もありま
すが、これは修理や交換で済みます。でも、殆どはちゃんと動いています。配線の仕方など、船体が
たわまないなど、そう言う事がいろんな部品をも高寿命としているのではないかと思います。

これから、いろんな整備をしていきます。シート、ハリヤード類を全部交換して、マストを塗装、交渉部品
を交換し、船体を磨き上げる。今でもゲルコートはピカリと光ります。船内も非常にきれい。ソファーを張り
帰れば、まあ、新品とは言わないまでも、そうとうきれいになります。

良いヨットとはこういうもので、20年や30年、どおってことは無い。長く乗っても狂ってこないので、船齢を
重ねれば重ねる程、違いが出てきます。寿命だけの話ではありません。乗っていて、楽なんですね。時化
にあえば、その違いはきわだってくる。

高い価格は伊達では無いのですが、新艇を買うには相当な投資です。それで、今回のように古いが元が
良いヨットに手を入れていくという方法も多いに有りではないでしょうか。それなら安い新艇を買った方が
良いという方も多いのですが、でも一考の価値有りと思います。この先、10年乗るか、20年乗るか解りま
せんが、乗っている間、違う次元での乗り心地や安心感などが味わえるからです。元さえしっかり建造
されていれば、どうにでもなります。

50年や100年,同じヨットに乗りつづける事は無い。でも、そういう高寿命のヨットは,例え10年しか乗らなく
ても,違うものは違う。その違いはわかります。でも、高いので買えません。ならば、古いヨットをしっかり
手入れしなおして,乗るのもひとつの考え方で、良いと思いますね。でも、一般的には古いヨットにいまさら
お金をかけてもと思う方も多い。

以前に30年物のヨットをレストアしましたが、これは今でもりっぱな物です。魅力的でさえあります。これから
古いヨットがどんどん出てきます。さあ、どうしましょうか。

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