第六十六話 古いヨット

マリーナには20年を超えて、30年というような古いヨットが珍しくもなくなりました。これらのヨット
がちゃんとまだ姿をそのままに存在し続けています。一体、いつまで持つんだろうか?そんな疑問
もありますが、それは時間がたってみないと解らない。でも、もっともっと持つでしょうね。もちろん
メインテナンスは欠かせませんが、40年とか50年とかいうヨットが出てくるようになると、20年とい
う船齢が、まだまだたいした船齢では無いと思うようになるでしょう。

今のところ、船体はだいたい問題無い。それより、設置されている備品などが故障していたりします。
つまり、こういう物は、その都度交換、修理していくとして、全体的には長く持つものです。海外の中古
市場などを見ますと、何年に何を交換したとか、そういう事が詳しく書いてあります。つまり、ヨットが
どれだけ持つかという事より、これから先どんな不具合が考えられ、必要な修理が出てくるかという可
能性を見るわけです。ですから、事前に交換されていれば、それは安心。

ヤンマーエンジンで30年以上の物があります。調子はとても良い。だいたいメインテナンスをきちんと
しながら乗っていくと、ヨットは相当長く乗れるようです。どれくらいかはまだ解らない。新しくても、
乗らない、メンテしない、この方がトラブルが多い。日本では船齢が最も重要視されますが、これは
ちょっと的外れかもしれませんね。船齢ももちろん大事ですが、それより、どんなメインテナンスが施さ
れてきたか。これが大切です。日本では購入時にはお金をかけますが、その後のメインテナンスに
お金をかけるという事があまりありません。それでは船齢で判断するしかない。こうなってくる。そして
30年経って、40年経って、それが立派にメインテナンスされて、きれいであったら。中古市場も変わ
らざるを得ないでしょう。でも、残念ながら、古いヨットにそれ程メインテナンスされている艇は少なく、
これが日本の現状ですね。

でも、例外もあります。あるヨット、過去を遡れば、セールは新調され、エンジンはオーバーホールされ、
機器類も新しくなっている。そんなヨットでも日本では船齢とともに安くなりますので、こういうヨットは
お買い得です。こういう状況はオーナーにとっても損ですし、買う側も結局は購入後に手を入れなければ
ならないとしたら、損ですね。ヨットの歴史が浅いせいだと思います。海外のヨットは平均的にメインテナ
ンスが良くされています。メンテしておけば、自分が乗っている間も快適ですし、売るのも高く売れる。
だいたい日本の2,3割は高い。バブル崩壊後は、かなりのボートが海外に出ていきました。日本の中古
は世界一安いのです。最近は韓国からも買いに来ています。

こういう状況に誰がした?責任はみんなにあるのですが、元々、ヨットがこんなに持つとは思っていなかっ
たのかもしれませんね。でも、最近は少しづつ変わりつつあると思います。20年のヨット、まだまだちゃんと
立派にしている事が解ってきた。30年オーバーでも、ちゃんとしている。まあ、ここまで来ると、日本では
ほったらかしのヨットが多いので、再生してやる必要がありますが、ちゃんと手を入れてやると、見事に
蘇る。それに古いヨットは個性的でもある。だから、なかなか良い。でも、古いヨットに手を入れるというより
それなら買い換えた方が良いとなる。それで、古いヨットは予算のあまり無い方に安く譲られる。予算が無い
から、あまり手を入れずに乗ってる。こういうケースが多い。でも、考え直す必要ありではないでしょうか。

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