第七十二話 ファーリングジェネカー

以前、イタリアのバマー社で開発されたファーリングジェネカーの話を書きましたが、意外に
思った以上の反応を頂きました。結構、スピンやジェネカーについては悩んでおられる方が
おられるんですね。セーリングをしますと、のぼりは良いでも、帰りに後ろからの風になる
途端に退屈な走りとなる。スピンを上げるにはクルーが居ないので、殆ど使った事が無い。
それにクルーが居ても、練習しておかないと難しそうだ。それでジェネカーを試してみるも
これもシングルではちょっと難しい。長い袋に入ったセールを上げて、展開して、ジャイブ
して、そして収納、これら一連の作業はオートパイロットがあっても、一人ではちょっとと言わ
れる。上げるのはともかく、収納はハリヤードを緩めながら、セールをとりこまなければなり
ません。コクピットリードのハリヤードではできません。

ジェノアは風をはらまず垂れ下がり、時にウィスカーポールをつけて広げてみたり、でも、今
一です。それでジェネカーを使いたいのですが、これもちょっとやっかい。そういう方々にジェ
ネカーのファーラーができた。これは行けそうだと思ったのですが、実際はうまく巻けなかった
りするようです。バマー社のファーリング方式は、言われれば、何でこんな事に気づかなかった
のかというようなシンプルな方式、ジブファーラーのようにラフ側を直線にして、同じようにラフから
巻いていくのでは無く、セールのピークから順々に下に向かって、セールを束にするような形で
巻きます。これだとうまく巻けそうです。それに巻いたまま、今度はジェノアが出せる。ジェノアと
ジェネカーの使い具合が非常に良いですね。

スポーツクルージングを一層面白い物にするには、このダウンウィンドをどうするかが課題です。
のぼりは良い。エキサイティングに走れる。でも、ダウンウィンドは物足りなかった。このジェネカー
をうまく活用すれば、これはきっと面白いセーリングができます。これで、スポーツクルージングは
ますます面白くなります。できるだけ早く調べて、価格、仕様などを掲載したいと思います。

私の周りには、少しづつですが、今までのクルージング一辺倒、いや実際は使ってこなかった人達
がセーリングをしようという気風になてきました。古いセールを思いきって新調したり、あらためて
艤装の取りまわしの相談があったり、このファーリングジェネカーの問い合わせもそうです。そして
実際に実行されてきた方はこんなにセーリングが面白いもんだとは知らなかったと言われます。
弁当ひとつ持って、シングルでさっと出かける。できるだけ簡単にすぐに出れるように、いろんな
工夫をして、1、2時間でも走ってくる。それだけで、最高の気分を味わって来られます。そして、
慣れてくると、少々風が強くても、出る。出ればそれだけ快走できる。そういうキャパシティーも
広がってきている。それで、ますますしびれるような快走ができる。無理は決していけませんが、
少しづつ自分のキャパシティーを広げられると、より一層の快走が楽しめる。楽しめるようになると、
さらに可能にする為に、何が必要かが解ってくる。そういう効果があらわれます。

みなさんも是非、あらゆる角度を快走してみてください。快走できるように工夫してみてください。
1回か2回じゃ不充分です。騙されたと思って、1シーズンぐらい、真剣に走る決心をして下さい。
きっと、間違い無く、セーリングの虜になるはずです。それだけ、セーリングというのは面白いもの
なんです。しかも、やっても、やってもつきる事のない奥深さがありますから、一旦快走すると、
味わってみると、2週間以上は幸せで居られるんじゃないでしょうか。

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