第七話 それで、どんなヨットが良いの

スポーツクルージング派は、自分がそうだと宣言したなら、それで良い。とりあえずどんな
ヨットでも、最高のセーリングを目指して、操船し、楽しむならOKでしょう。でも、そういう
のをもっとやり易いヨットがあるのも事実。そういうヨットを検討します。

コースタルヨットは最もポピュラーなヨットです。これで1週間のクルージングから日本一周
までもOKです。ただ、日常ではデイセーリングとなり、その時は目一杯最高のセーリング
を目指しますから、やはり帆走性能が高い方が面白い。でもそれだけでは不充分です。

ヨットは30フィートをオーバーしますと、どれもがバウバース、サロン、そしてアフトバース
がある。メインサロンにはギャレーもあるし、後はトイレが前か後ろ、レイアウト的には大き
な違いは無い。だから、たいていのヨットはキャビンにそんなに不足は無いでしょう。
ところが、この先です。ひとつひとつのキャビンをもっと大きくしていくヨットと、ここからセー
リングの方を充実させるヨットに分かれていく。キャビンをもっと大きくと言っても、キャビン
がひとつ増えるわけではありません。天井がもっと高くなり、幅が広がり、つまり、部屋が
少し広くなる。私に言わせれば、せいぜいその程度、帆走性能を犠牲にしてまでやる事
では無い。ある程度キャビンが充実しているなら、もう充分。後は帆走性能を犠牲にする
どころか、高める方に向けた方が良い。コースタルというジャンルはそれが良いと思います。

船体の長さは決まっています。30フィートのヨットと考えると、長さを長くするのは別サイズ
ですから、同じ30フィートで幅を広くして、高さを高くする。そうなると船体がでかくなります。
でかい船体は重量が重くなる。上部が重量が重くなると、それに応じてキールも重くしなけ
ればなりません。そうするとさらに重くなる。鈍足になる。上が重いので、本来ならキールは
さらに重くしなければなりません。幅が広くなる事がスタビリティーを高める事にはなる。しか
し、どの程度なのかは解りません。バラストが軽いけど、幅があるので十分なスタビリティー
を持っているというヨットは知りません。例えば、船体重量が倍になったとしたら、バラストも
倍にすれば比率は同じ、でも、スタビリティーを同じにするには、もっとバラストを追加しなけれ
ばならないと思います。その時、幅がどれだけの効果を発揮するのかは解りません。

ところが、こんなことやってますと、ヨットは実に重くなる。それで、キールを重くするような事
をせずに、セールを小さくする。そうすると帆走の楽しさは薄れてきますね。やはりヨットは
しっかりしたスタビリティーと十分なセールエリアは確保したいものです。つまり、低重心の
船体と高バラスト比、それに充分なセールエリアの確保でしょう。これにデッキのレイアウト、
デッキ艤装の種類と配置、そういう物を検討していきたいと思います。

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