第六十四話 経験

ここで言う経験とは、経験を積み重ねてベテランになるという事ではありません。経験を積めば
誰でも知識が増えてベテランになる。でも、ここで言う経験とは、積み重ねによるベテランの域
に達する事では無く、経験そのものの事。何、言ってんでしょうか?経験する事、そのものが貴
重ではないかと言いたいのです。結局、どんな経験をしてきたか、していくか、それが生きている
生きてきたという事ではないでしょうか?

どんな天才がすごい事をやってのけようが、凄い物を発明したり、大金を手に入れたり、世界一周
したり、そういう記録や物などはすごい事ではあるが、結果だけを重視するのでは無く、もっと重要
な事はそれをする為に、達成する為にどんな経験をしたか、そしてどんな感情を持ったかではないで
しょうか。すごい事をやれば、皆が賞賛してくれます。でも、それまでにどんな経験をどんな風に体験
してきたかが、大きいのではいかという気がします。誰でも、自分しかできない経験をする。どんな
経験も貴重なのかもしれません。そう思えば、結果よりプロセスとしての経験の方が大切かもしれ無
い。世の中は結果主義です。結果が全てという人も居ます。結果はどうでも良いとは言いませんが、
例えば、苦労を重ねて日本一周して、プロセスは苦しかった。でも、その最後の1日、達成したその日
は最高の気分だった。そういう事があります。でも、苦しく、嫌で、本音はやめたかったけど、人に何言
われるかわからないし、そういう事で達成する為に苦労してやるより、達成できなかったとしても、楽し
んだり、苦労しても良い思いでだったり。そういう事が大切なのではないかと思うのです。

つまり、結果も大切だけれど、結果に至るプロセスをどんな風に過ごしたかも大切だと思います。何故
なら、結果は瞬間であり、プロセスは長い。ただそれだけです。凄い結果を得るより、凄い体験を得た
方が大事なのではないかという気がします。

ヨットは日常の陸では体験できない事を体験できる。だから貴重だと思います。どれだけ貴重な体験を
生きているうちに経験できるか。それが人生の充実感に繋がるのではないかと思うのです。だから、
ヨットやるのに、どんな経験をしたいかを考えるのが良いと思います。ヨットでできる経験、ヨットでしか
できない経験、そういう事を重視して進めるのが良いと思います。例えば、快適なキャビンライフはそれ
それはそれで経験のひとつ。セーリングはまた別の世界の経験です。キャビンライフは日常に近いが
セーリングは別です。外と内という別の世界ではないかという気がします。内も経験して良いし、でも
外も経験した方が良い。どんな経験でも良い。たくさん経験する方が良い。誰でも、辛い経験はしたくは
無いものです。でも、積極的に何かを経験しようとすると必ず何か辛い事に遭遇する。でも、素晴らしい
事にも遭遇できる。結局、何もしないで、両方とも経験しないよりは良いのではないかと思います。
ヨットに乗れば時化に合うかもしれない。でも、最高の感激も味わえる。日本一周という目的が無くても
目の前でできる。ヨットは本当にプロセスの遊びだと思いますね。でも、目的があいまいだから、なかなか
良さがわからない。目的地があった方が解り易い。でも、本当の醍醐味はそのプロセスにあるような気が
します。

セーリングして、良い経験をたくさんして頂きたいですね。その過程には嫌な事もある。でも、良い経験を
再び求めて、さらに経験をして頂きたいです。何とも言えないしびれるような経験をして頂きたい。日本
一周は誰でもできる経験ではありませんが、しびれるような経験は誰にでも、その気になればできる。
そして、それは日本一周という達成感にひけを取らないと思います。誰も、賞賛はしてくれませんが、自分
の中では充実します。

表現力が今一で、何を言っているか解りませんね。何とかしてセーリングの良さを伝えたいと思っています
が、どうも難しいです。でも、勝手に言いたい放題ですから、ご勘弁ください。

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