第五十話 独り言

前話でついに結論を書いてしまいました。これから先、何をテーマにしたら良いか、悩み
そうですが、まあ、そのうち何か出てくるでしょう。ヨットにまったく関係無い話も出るかも
しれませんが、そこはご勘弁下さい。

小型船舶の統計によりますと、2004年に進水した新艇の数が出ています。2004年
の11月までの11ヶ月になりますが、ヨットは72艇、全国でたったこれだけです。一方
モーターボートはと言いますと、水上オートバイを除いて、3,137艇もあるんです。これ
でヨットが増えないのが不況のせいでは無いと解りますね。何故か?ヨット離れが進んで
いるのは何故か?

一方モーターボートは確実に増えている。これから先は推測です。恐らく釣りファンが多い
せいだと勝手に思っています。釣り用のボートが圧倒的に多いと思います。つまり、釣り
の楽しみを知った人達が最も稼働率は高いと思います。後の人達、例えばサロンクルー
ザーとかは現状のヨットと同じ、使い方が楽しめなくなっているので、稼働率は低い。
走るだけではあきてくるし、どこかに行っても、ヨットより行動範囲は広いものの、それでも、
そのうち行ける範囲は全部行ってしまえば、それ以上では無くなる。釣りは尽きる事の
無い遊びですから、終わらない。それで、ヨットを考えますと、セーリングこそが尽きる事の
無い遊びです。ならば、釣りを楽しみたいなら、ボート、海を楽しみたいなら、ヨットが一番
なのです。でも、人々は時間が無いからと言って、ヨットのように足が遅いのを敬遠してし
まいます。難しそうだと言って、ボートに行きます。これは大きな勘違いなのです。

ヨットやボートをプロセスで楽しまない限り、目的地を重視している限り、なんぼ時間があっ
ても足りないのです。ボートは足が速いので、あっという間に目的地についてしまう。それが
良いと思っておられるだろうが、あっという間に着くという事は、あっという間に飽きてしまう
のです。あっという間に着いて良いのは、ほんのたまにしか行かないからです。だから、
結局は乗らなくなる。でも、ボートはプロセスを楽しめるかというと、楽しめなくは無いが、
あのエンジンの騒音、隣と話する時大声で怒鳴らなければ聞こえない。それで、みんな
黙ってしまう。波にバンバン叩かれ、腕が痛くなってくる。優雅さとは程遠いのです。

それでヨットのセーリングを楽しむという観点なら、遠くへは行きません。短時間でも楽しめる
そういう点からして、忙しい方こそヨットの方が楽しめるのです。2,3時間あれば、堪能でき
るのです。目的地を持って、そこにうまいもんでも食いに行こうというなら、車行けば良いの
です。その方が確実に着けるし、駐車場も心配無く、途中変更もでき、寄り道ができ、自由
自在なのです。ヨットで行く時は時間のある時です。そういう時は、ヨットならではの楽しみ方
もある。ロングクルージングの楽しみもある。

さて、最後に、外洋を含めたロングクルージングに一言。ロングを走るというのはショートとは
考え方が異なってきます。セーリングを楽しむも、毎日、毎日ヨットに乗ってるわけですから、
細かい操作なんてしてられません。外洋ならエンジンも燃料もったいないから使えない。
ヨットに居るからキャビンは重要ですし、収納も重要、燃料タンク、清水タンクも大量に必要
細かい操作より、時化に強く、重排水量で、直進性に優れている事の方が重要です。基本的
にヨットに対する要求が違いますから、これらをデイセーリングに気軽に出す事は難しくなる。

ただ、逆に、ショートクルージング用は外洋には向かない。でも、外洋では無く、沿岸を走って、
夜間は港に入るという乗りかたを続けるのであれば、充分ではないでしょうか。燃料を使っても、
次の港で補給できる。水だって、食料だって同じですから、一度に大量に積みこむ必要性は無い。
だから、ショートクルージングを基本にしていれば、たいていの事はできる。デイセーリング
ではセーリングそのものを楽しみ、ちょっと遠出する時はエンジン使っても良いし、船に泊まって
もホテルに泊まっても良い、とにかく外洋に行く以外は問題無い。もちろん、外洋性のあるヨット
の方が楽ではあります。でも、ショートですから、時化の中を出ていくわけでも無く、時化ても
その日港にはいるまでを我慢すればい良い。

何日も陸に寄らずに走る、外洋を目指すのなら、確かに外洋艇がお奨めです。

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