第三十三話 自分のヨットを知る

シングルハンド的態度として、操船ばかりでは無く、自分のヨットを充分に知る事が
必要であるばかりか、その方が面白くなると書きました。そこで、これからしばらくは
このテーマに沿って書いていきたいと思います。どこから始めたら良いか?まあ、
思いつくままに書きますので、ご勘弁を。

清水について、清水タンクがどこかにあると思いますが、通常、デッキから水を入れ
ますが、当然タンクに水が入れば、中の空気はどこかに逃げなければなりませんの
でエアー抜きがついています。これがどこに行っているか確認します。次にギャレー
やトイレ、シャワーなどへの配管がなされています。そのパイプがどこを通って配管
されているか、どこで接続されているか、どこかで繋がれているかを確認します。こう
いう接続部は水漏れの原因にもなりますので、水漏れ発生時の確認個所になります。
それに、エンジンが間接冷却で温水器を備えている場合、そこにも配管がなされてい
ます。冷水と温水がどういう経路を通って、ギャレーやシャワーに来るか、これを確認し
ます。配管の途中にはプレッシャーポンプがあり、アキュムレータータンクがある。
プレッシャーポンプは清水を家庭の水道のように、蛇口をひねれば水が出てくる為の
圧力をかけるポンプです。アキュムレータータンクはその圧力を溜める場所で、ポンプ
で造った圧力がアキュムレータータンク内で一定の圧に上昇すると、ポンプのスイッチ
が切れるようになっています。従って、電気パネルのスイッチを入れるとポンプが回り
一定圧にまで上昇するとポンプは停止、蛇口をひねって水を出すと水圧が下がる事に
なりますので、再びポンプが回り圧を上げる。水を出している最中はポンプは回り続け
ますが、水を止めてしばらく後にはポンプは自動的に止まる。

ポンプがいつまでたっても停止しないという時がたまにあります。考えてみれば、簡単
な事で、原因は圧が一定圧まで上がらないという事です。つまり、清水タンクに水が無
い。或いは、どこかで水漏れがある。ポンプはまわっており、タンクに水もある。でも、
水が出てこないという事もあります。配管の詰まり、パイプがどこかで折れている、或い
は、ポンプのエアーかみもある。配管が問題無いとしたら、エアーかみの場合、水道の
蛇口に口をつけて、そこから思いきり吸い込んでもらって直った事もあります。

温水はエンジンの清水冷却水が温水器に回り、エンジンと温水器間を循環しています。
温度が低いというのは古くなると良くある事です。エンジンの冷却水にはサーモスタット
があり、これの設定温度が低い場合、こういう事が起こります。或いは、配管内部の汚れ
で内径が細くなり清水を温める為のエンジン側から回ってくる水の量が少ない事もある。

つまり、ここで言いたい事は、できるだけ知って、何らかの症状が出た場合、できるだけ
考えられる原因を探って、自分でできる場合は自分でする。できない場合は業者に頼み
ますが、その時でさえ、的確に症状を業者に伝えられるし、原因がどこにあるとも言える。
非常に効率的に行えるという事です。以外に思われるかもしれませんが、何らかの症状
が出て、業者に依頼する場合も、良くわからないとか、いくつも原因が考えられるとか、
案外水が入ってなかったとか、そんな非効率な事も多いものです。的確に症状を伝え、そ
れも考えられる原因は全てチェックして、それ以外にあるという事も伝えると、電話だけで
業社も原因はどこにあると答えられる事も多い。

例えば、ポンプに原因がある場合、ポンプのモーター部をどうにかするには専門的知識
も必要ですが、交換程度なら簡単ですし、ばらしてインペラを交換するとか、分解掃除とか
やってみると以外と簡単な事なのです。

参考までに、先日あるオーナーが清水タンクを掃除したかったのですが、物理的にできな
かった。配管程度の穴しかあいて無い。蛇口からは汚れた水が出る。それで、タンクの中
に酢を入れた。食用に使う酢です。これを何本も入れて、数日ほおっておく。そしたら、きれ
いになったそうです。

とにかく、タンクから全ての経路を知り、途中に切り替えバルブがあったり、全てを知る事が
いろんな症状がある場合、対応が簡単にできます。全ては自分の目で見て解る事であり、
ちょっと考えれば、どうやって見ていったらいいかも解ります。全てはこういう態度で接したら
いろんな事が解って、自分のヨットに精通してきます。目で見ただけでは解らない電気的な
問題であれば専門的知識も必要ですが、ヨットの場合、多くはシンプルで見て解る事が殆ど
ですので、積極的に理解しようという態度を持ってください。解れば、解る程、自信もつくし
面白くもなる。そう思います。

ヨットの清水を考える場合、本当はプレッシャーポンプなんてものは殆ど必要無いのではと
思います。ちょっと水を使いたい時に、いちいちパネルのスイッチを入れないといけませんし、
そんなにたくたん使う事も無い。それよりフットポンプなどですぐに使える。こういう考え方も
あります。そうすると、とてもシンプルで故障する事もあまり無い。ただ、シャワーは使えませ
んが。まして、ロングに出るような場合は清水は貴重になりますから、プレッシャーポンプで
水を使っているとすぐに無くなる。バッテリーも食わない。シャワーが無いかわりに、メリットの
方が多いと思いますね。

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