第十六話 好きか、嫌いか

人は好きで物事を始めますね。もちろん、好奇心で始める事もあるし、しなければ
と思ってやる場合もあります。それらは、物事の種類にもよります。ヨットなんかは
好奇心か好きで始める。それも続ける為には好奇心が好きに変化していく。或いは
見栄という事もあるかもしれません。少なくとも、嫌いではできない事です。ですから、
ヨットを続けていっておられる方々は少なくともヨットが好きなのです。ヨットを長い間
放っておいている人は、恐らく好きでは無いのでしょう。好きでも無い人に無理やり
進めては申し訳無いので、これからは、乗らない人がどうしたら乗るようになるかという
考え方はやめにします。それより、今乗っている人、これから乗りたい人達が、いかに
したらより面白くなるか、という事を考えた方が、こちらも面白い。そういう視点を持つ事
に切りかえる事にしました。

私がヨットが好きかと聞かれれば、好きだと答えます。しかしながら、正直に言いますと
無茶苦茶好きだとか、三度の飯より好きだという事では無いのです。ヨット以外にも好き
な事がたくさんあるからです。私の持っている暇な時間を全て、ヨットに費やそうという気
は無いのです。一部で充分なのです。その一部をいかに有効に、最高の楽しみを得られ
るかを自然に考え付きます。そういうスタイルが好きだからです。ヨット以外の事もしたい
からです。この程度ですから、逆に、ヨットを、ヨット遊びを、好きでたまらない人に比べる
と、ある程度冷静に見れるのではないかと思います。

ヨットは元々ヨーロッパから始まった物だと思います。詳しくは知りませんが。そのヨーロ
ッパ人がアメリカにも渡り、今では欧米がその中心となっています。日本がヨットを昇華
していないので、日本発のヨットスタイルを生み出すにはいたっていません。車などは
日本も消化したのでしょう、日本発の車が世界を回っています。でも、ヨットはそうでは無い
日本の技術がどうこうという問題では無く、日本がヨットそのものを昇華していないのが、
日本発が生まれ無い理由だと思います。技術的には充分あると思いますが、そういう次元
では無いのです。日本社会にヨットが溶け込んで、始めて、日本発のヨットスタイルが世界
に出ていく事になると思います。

つまり、欧米から来る文化をそのまま同じスタイルで使おうと思っても、日本と欧米では異
なる文化を持っているので、馴染まないのではないか。日本の欧米化がいくら進んだとは
いえ、根本的には違うでしょう。それで、ヨットを自分達のスタイルに消化しなければなりま
せん。それが、最も楽しめる唯一の方法ではないかと思うのです。そうなれば、日本で建造
されるヨットが最も日本人に合うという現象が起きてきます。残念ながら、現時点では、日本
国内産も欧米のそれと同じです。これは非難では無く、仕方の無いことだと思います。昇華
は一部の造船所にかかっているのでは無く、全員にかかっているからです。

さて、日本に合うスタイルとはどんな物か、これが、これからの課題ですね。これを独断して
みます。賛同されなくても構いません。遊びの一貫です。

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