第八十三話 アレリオン 28 2008年進水艇

   
   

滅多には中古市場には出てこないアレリオン28が出ました。そこであらためてこのヨットをご紹介致します。アレリオンはセーリングの歴史において重要な役割を果たしてきました。伝統的な美しさと現代のセーリング技術を融合させたヨットで、現在のデイセーラーコンセプトを生み出した元祖デイセーラー、このヨットが世界中に受け入れられるようになるにつれて世界中が真似てデイセーラーを建造するようになりました。

このヨットがそれまでのヨットとは異なったのは初心者でも操船できる操作性、同時にベテランヨットマンでも満足できる高い帆走性能を持っています。船体はFRP製でSCRIMP工法と呼ばれましたが現代のバキュームバッグ工法と同じです。軽量化と高強度の船体を実現しそのセーリングの滑らかさは経験豊富なヨットマンにも高く評価されています。

写真の通りライフラインが設置されておりません。それは高い安定性とジブブームを持つセルフタッキングジブとフルバテンメインセールで全方向へのセーリングに合理的な設計がなされており、ライフラインを必要としないからです。さらにデッキは低く、でもコクピットは深く安心感がありコクピットから出る事も無く全ての操作が可能、たとえ強風であって普通なら大きくヒールするような状況でも波がデッキを洗うなんて事はありません。

このヨットを操船するにはひとりで十分、ひとりで操船できるようになっています。オートパイロットも必要ないが、まあ、このヨットにはオーナーがメインセールを上げる時に使うという事でオートパイロットは設置されています。ティラーを握ったままでジブシート、メインシート、トラベラー、バックステーアジャスターが操作できます。バングはリジッドタイプ、リーフはシングルラインリーフ、ひとりで全部できます。もちろん、二、三人で操作を楽しんでも良い。

船内は狭いですが、バウにVバース、手前のメインキャビンには左舷側に長いソファー、右舷側には一人掛けのシート、後はチャートテーブルに物入れがあります。マリントイレとギャレーシンクは新艇時オプション設定であったのですがオーナーは使わないから不要との事で設置しませんでした。もちろんこれから設置する事もできます。キャビンはVバースに二人、メインキャビンのソファーに一人寝る事ができます。要はキャビンはシンプルですがセーリングの性能、質、操作性を重視し如何に上質セーリングを味わえるかという事を重視しています。ですから誰でも気軽に出して質の高い快適なセーリングを堪能する事ができます。

エンジンはヤンマー2YM15セールドライブです。プロペラはゴリのフォールディングプルペラ、デッキにあしらわれたチークは今回ニス再塗装、キャビン内の木材も取り替えて非常に綺麗です。

このアレリオンには設置していませんが以前ステンレスでバウスプリットを造った事があります。それにファーリングのジェネカーです。このヨットにはジブブームがありますのでこのままジブとメインでダウンウィンドを走る事ができますが別のアレリオンのオーナーの時ジェネカーの方がセール面積が広いのでより速く走れるという事でバウスプリットとファーリングジェネカーを設置しました。もちろんこのヨットにも作成する事はできます。

こういう高品質のヨットはそうそう数多く売れるものではありませんがこのアレリオン28はこれまでに約500艇弱が建造され世界に進水しています。この手のヨットとしては驚異的な数です。1990年から本格的な建造が開始され、今回のヨットは2008年進水ですから船齢は18年、人間の寿命より長いですからまだまた若者です。恐らくこれから20年、30年後にはビンテージヨットと呼ばれる様な存在になるのではないか? 正直そんな気もします。セールやロープ類は新しく取り替える事ができますが船体だけはそうはいかない。つまり船体こそが全てを決める基準となります。まさしく名艇のひとつだと思います。
下の写真は整備中でブームを外しています。マストもブームも再塗装をほどこしています。もちろんジブブームも。詳細は中古艇ページをご覧ください






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