第六十三話 エンジンの選択


      

新艇を発注される場合、エンジンはどう選べば良いんでしょうか? ブランドとしては、ヤンマーとかボルボ、それ以外にもいろんなブランドがありますが、後々のメインテナンスを考えれば、他のブランドは避けた方が良いのではないかと思いますが、さて、ブランドは兎も角、エンジンパワーはどうしよう?

上の表は、ベータマリンというエンジンメーカーですが、ヨットに設置する場合の適合パワーを出しています。排水量と水線長に対するエンジンパワーの適合を表しています。これを見ますと。、これまでの認識よりパワーが小さいなという気もしますが、昨今のセールドライブの効率の良さと、パワーのみならず、プロペラのマッチングが重要だとの事です。

イーグル44というデイセーラーは、排水量が5,075kg、水線長は8.87m(約29フィート)、造船所の標準仕様エンジン設定は20HPのセールドライブです。44フィートもあって、20HPのエンジン? ちょっと小さく無いか、と思われるかもしれませんが、実際、オーナーに聞きますと、機走で8ノット出るとの事で、十分との返事でした。

それから、現在、カスタムにて建造しているPC47は、11.5tあります。それで設定エンジンは60HPのセールドライブ、この表で行くと43HPになりますから、燃料とか清水とか、いろいろ含めても余裕がるとの造船所の返事でした。

以前、我々はより大きなパワーを持つエンジンを搭載しようよしてきました。もちろん、プロペラシャフト式のエンジンですが、現代はセールドライブに変わり、プロペラの推進力は船体と平行に出されますから、効率も良くなったという事もあり、また、プロペラを適合させる事で、効率良くなったと言えると思います。つまり、上記の表にプラス余裕があるぐらいは良いと思いますが、さらにそれ以上大きなエンジンを設置したとしても、たいして違わない、無駄に燃料を食うだけという事かもしれません。

さて、セールドライブのエンジンは、今では一般的になりました。シャフト式より静かですし、上記しました様に効率も良いので、造船所の設定がシャフト式の場合、セールドライブに変更してもらうようにしています。実は、造船所にとっても設置し易いのです。何故なら、エンジン/ギヤ/プロペラまで一体化しているからで、シャフト式ならば、エンジンの設置角度やシャフトまでの直線性を保つ必要がありますし、船外ではシャフトブラケットの位置までもが、きちんと直線性がでていないといけません。それがセールドライブには一体化しているので設置は簡単になります。

多くの場合、造船所標準設定は上記のパワーに近い設定が多い様です。どのエンジンメーカーも科学的にそうなんでしょう。でも、何となく、もしも、なんて事を考えると、ちょっと余裕を持たせたくなるので、そのエンジンメーカーのひとつ上のサイズにしたくなります。それぐらいは許されるでしょう。という事で、今度来るアレリオン30で言うなら、表で言うと、13.5HP(造船所設定は12HP)なのですが、20HPにしてもらいました。やっぱり、これくらいは欲しいかな。


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