第六十一話 陸電、発電機 & インバーター


      

皆さんのヨットを係留しているマリーナに陸電設備はございますか?昨今では多くのマリーナが陸電設備を備えています。中には、これが無いマリーナもありますが、もしあれば、これを活用しない手はありません。陸電とは、陸側桟橋に用意された100V電源で、ケーブルをヨットに繋いで、船内で100Vを使えるようにするものです。そして、船内にはコンセントが付きます。

船内で100Vが使えると、例えば、エアコンを設置できますし、電子レンジ、大型テレビ、ステレオ、パソコン等々、自宅で使っている家電をそのまま使う事ができます。また、ヨットによっては、温水器を備えているなら、100Vで温水を作って、ギャレーやシャワーなんかに供給する事ができます。ついでながら、温水はエンジンの熱を利用しても作れます。陸電を利用しますと、ヨットに泊まる時に便利になり、別荘ライフには欠かせないかもしれません。

もし、マリーナに陸電設備が無い場合は、発電機の設置となり、これは陸電と同じ様に使えますすし、どこにクルージングに行っても使えますから、それがメリットになりますが、一方、、何しろ設置場所が必要になりますから、ヨットがある程度大きなサイズでないとスペースを確保できない事になります。その点、陸電でしたら、小さなヨットでも使う事ができます。もし、ヨットにそういう設備が無い場合でも、後からでも設置可能です。お付き合いのある業者さんに相談されると良いかと思います。

さて、もうひとつ100Vを使う方法ですが、船内に設置された12Vバッテリーを100Vに変換して使う事もできます。インバーターというものですが、注意点は、12Vから作りますから、使いすぎると、バッテリーがあがってしまう事です。例えば、100Vで1000Wの機器を使うとしたら、100Vなら10アンペアですが、12Vから取りますと、83アンペア程必要になります。これは1時間の話ですが、よって、短時間に限定すれば使っても大丈夫。電子レンジとかは短時間ですし、パソコンなんかは、そう電気を食いません。但し、これはあくまで100Vであって、船内の照明、清水モーター、冷蔵庫等はあくまで12Vです。陸電はあくまで100Vのみです。

今日の我々の生活には電気は欠かせないわけですが、ヨットでは12Vと100Vの使い方を、きちんと考えておかなければなりません。もし、陸電か発電機を使えるなら、100Vから12Vバッテリーを充電する事をお忘れなく。新しいバッテリーチャージャーは自動的に過充電防止装置がついており、満タンになったら充電停止、放電したらまた充電と自動的に作動しますから便利です。また、インバーター/バッテリーチャージャーと一体化した機器もあります。バッテリーチャージャーで充電しながらですと、照明等を長時間使っても安心ですね。是非、ヨット泊を楽しんで頂きたいと思います。因みに、GPSとか風向風速計、オートパイロットなんかはセーリング中に使いますが、たいして電気を食いませんから大丈夫。でも、いすれにしろバッテリー充電は必要なので、エンジンから充電、または、陸電、発電機等から充電という事は考慮しておかなければなりません。どれからバッテリーを充電するのかです。バッテリーの状態をモニターする機器もあります。

ところで、先日、船内の湿気を何とかしたいというご相談がありました。通常は、天井にソーラー式のファンの付いた換気扇なんかを設置しているのを見かけますが、欧米は乾燥しているので、せいぜい、あれで良いんでしょうが、日本の様に湿度が高いと役に立ちません。それで、家庭で使う除湿器を設置して、タンクに溜まる水をギャレーシンクにホースを繋いで流すという提案をさせて頂きました。もちろん、100Vですので、これは陸電で無いと使えません。無人の時ですから発電機を使うわけにも行きません。

100Vを使い、12Vを使い、バッテリーの充電もちゃんとしておく事をお勧めします。是非、ヨットで宴会だけでは無く、泊りも含めて、ヨットをどんどん有効活用して頂きたいと思います。


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