第三十話 泊まる


      

欧米では泊まるという以上に、そこを別荘的に使う人達が多い様です。そうなると、泊まるというより、滞在するという方が合っている。ただ、日本ではそこまでは無いと思いますが、でも、たまには、泊まるという事も遊びの中に、もっと取り入れても良いのではないかと思います。

昨今のクルージング艇は、この欧米の別荘的使い方を反映して、キャビンが非常に広くなりました。おまけに、ヨットに設置できる様々な便利機能の機器もたくさんあります。別荘には十分快適な装備があり、マリーナも陸電で、100Vを供給するマリーナも増えています。という事は、発電機を積まなくてもエアコンさえ設置できます。

さて、写真は前話のTES28ですが、充分に広いし、後部側には、これまた広〜いアフトキャビンがもうひとつありますので、別荘にしたって使えます。陸電があれば、パソコンだって、電子レンジだって、コーヒーメーカーだって、何でも設置できますね。もちろん、ギャレーもありますし、温水だって出ますし、シャワーもある。ただ、バスタブだけはありませんが。

旅も良し、セーリングも良し、そして、たまに泊まる。テレビもビデオも、オーディオだって設置できます。夜は、コクピットで一杯飲んで、みんなで楽しむのも良し、何しろ、これ動く別荘なんですから。で、動くというのが、一般別荘とは違いますから、別のマリーナに移す事だってできるわけです。移動するときは旅を満喫します。そして、新しいマリ―ナで、そこをまた、楽しめます。そして、また、移動したって良いわけです。移動できる別荘なんですから。

ヨットは近場に置きたいのが人情ですが、別荘として考えると、案外、遠い方が魅力的に思えます。九州に行きたい? 瀬戸内海、日本海側? この際だから、行った先に1年ぐらい置いといて良いんじゃないでしょうか? そこに通って遊んでみます。 但し、こういう使い方には、ゆったりとした時間を確保したいですね。 仕事現役で、多忙な方にはちょっと難しいかもしれませんが。引退したら、こういうヨットライフも悪くない。しかも、移動すれば、目先が変わって、その新しい場所での、近場でのセーリングも新鮮になります。そこがまた良い。

この別荘には土地が要らない、旅(移動)もできる、セーリングもできる、また、いつかヨットから引退する時も、売りやすいです。ですから、一般別荘よりも良いかな。ホテル代わりに、友達に貸す事だってできます。ひとしきり楽しんだら、さあ、次はどこへ移動しようなか? こういう使い方だってできる事を知って頂きたいんです。

海外では、例えば、ニューヨークに住むオーナーが、暖かいフロリダに置いているなんて普通にあります。ハワイに置いてる、海外に置いてるという事もあります。大きな国土の人達は、距離感が我々日本人とは異なります。日本は狭いですから、それに比べたら、どこに置いてようが、すぐそこという感じかもしれませんね。もっとおおらかに考えられれば、もっと楽しめる方法もあるんだろうと思います。


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