第十三話 セーリングホーム


      

キャンピングカーが流行っているそうですが、欧米ではモーターホームと言うらしい。この名称から来るイメージはちょっと違います。キャンプと移動する家の違い、おのずと使い方にも違いが出てくるのかもしれません。ホームなら、住むニュアンスが強いです。

ヨットは欧米でもクルージングボートですが、セーリングホームと言い換えたら、住むというニュアンスが強くなって、ヨットに泊まるのが常識になるかもしれません。その為に、あれだけのスペースと装備がある。つまり、クルージングと泊まりの割合が、泊まりの方が強くなる。つまり、旅して泊まる、旅しなくても泊まる。ホームなのです。そうすると、もっと多くの人達が泊まるようにならないだろうか?

クルージング艇は本来は泊まる為の設備を持っているので、ホームの方が正しい? しかし、日本では泊まる人が少ない。それではクルージング艇を使いこなしているとは言えないのではないか?泊まらないなら、もっと良いのがあります。もちろん、デイセーラーです。泊まりよりセーリングの割合が多い。一方、クルージング艇は泊まりの割合が多い。設備的に分類するとです。

セーリングホームは、旅もできるホーム。ホームが主体なので、旅をしないでも泊まる。泊まるが主軸になるのがセーリングホームであり、それがクルージング艇です。セーリングホームと、これからは呼ぼうかな?欧米を見ても、圧倒的に泊まる人達が多い。旅するより多い。だから、その需要に合わせて、現代のクルージング艇ができてきた。より広いキャビンで快適な設備です。さらに、マリーナにも、泊まりをし易い様に整えられてきました。クルージング艇の進化はここにあります。

ただ、残念な事に、AC100Vが取れる陸電設備を持つマリーナばかりではありません。まだまだ、陸電の無いマリーナもあるし、清水が無いのもあるし、今は携帯電話があるから良いけど、昔は、欧米ではヨットに電話線を引き込めました。ケーブルテレビもあった。

日本でもっとヨットが増える鍵は、この泊まりにあるのかもしれません。旅が主体と考えているうちは難しいかもしれません。何故なら、時間とか、天候とか、いろんなノウハウが必要であり、それらを全て超えていかなければならない。それは一般的にはなりにくいのかもしれません。

ですから、まずは泊まりに行こう。そしてたまに気が向いたら、ピクニックセーリングを楽しもう。これが基本のクルージング艇の遊び方。そして、さらに、気が向いたら、もう少し足を延ばした旅をしても良い。でも、クルージング艇の基本は泊まりとピクニック。というのは如何です?

もし、泊まる人達がどんどん増えたとしたら、これにはウィークエンド程度で良いし、特別なノウハウも要らないし、簡単ですから、誰でもすぐにできる。そんな人達が増えたら、ピクニックする人達も増えて、もっと足を延ばす人達も増えて、さらにセーリングに興味を持つ人達が増えて、レースする人達も増えるに違いない。そうなら、泊まって楽しむ方法をもっと考えた方が良い。

そうなると、近くのマリーナはどこか? というより、楽しいマリーナはどこか? という視点で探す。ちょっとぐらい遠くたって良い。むしろ、その方が別荘的で良い。そのマリーナを起点に、ピクニック、周辺の散策、旨い食事、人々、温泉、観光、等々を楽しむ。日本では、ヨットに奥さんが来ないのは普通です。だって、楽しくないもん と言ったのは、あるオーナーの奥さん。これからは、楽しいマリーナ、楽しい別荘暮らしをもっと考えるべきかもしれない。


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