第十六話 大人の遊び


      

経験豊かな大人が、ただ楽しいだけで満足できるものだろうか?大人の遊びはもっと、何と言いますか、知的じゃないと、最初は良いが、そのうち年に1、2回程度か、全く乗らなくなったりして?特に日本人にとってはそうだろうと思います。

欧米人は動かさないでも別荘的に楽しめる。でも、日本人はそうは行かない。陸上の別荘だって閑古鳥なんですから、ヨットを動く別荘だと言っても、それで充分楽しんでる人達を知りません。やっぱり、面白さを感じるか、或いは実際の生活に役だつか、どっちかが無いと続かないのでは無いでしょうか?そこで、ヨットは実用性はありませんから、面白さが必須という事になります。もちろん、レジャー的にピクニックを楽しんで良いわけですが、その楽しさだけじゃあ物足りない。

そこで、セーリングをより深く味わう為に、知的に試行錯誤を繰り返しながら、自分のヨットとセーリングを探求して行く事こそが面白さになると思います。自分のヨットをどの様に走らせたら良いか?その探求は知性です。その知性は進化していきます。そうすれば理解が深まり、知れば知る程に面白くなる。さらに、このメリットは自分の感覚も同時に進化していく事です。だから、自分のセーリングが進化していきます。進化する自分を味わう事こそが、大人の遊びなんじゃないでしょうか?

別に特に難しい事をしようという話では無く、ただ動くだけのセーリングから、少しだけでもセーリングについて考えるだけでも随分違ってくるのではないかと思います。少し考え、少し理解が深まり、そうすると見る目が違ってきます。こんな事は誰でもすぐに出来る事です。やるかやらないかだけの違いに過ぎません。

セーリングが解ってきたら、こうしたら、ああしたらという考えも浮かんでくる。そうやって自分のスタイルが徐々にできてくる。自分が知的にも感性的にも、最も楽しめるセーリングのスタイルです。それをさらに探索し続けて行きます。これらがあってこそ、レジャー的なピクニックも違うレベルで楽しめるし、ゲストをより楽しませてあげる事もできると思います。

もちろん、それが旅でも良いと思います。旅には旅のノウハウがあって、それを探索していくと、いろんな知識が必要になり、それが自分自身の進化になりますから、ただ、どこどこに行った事があるだけでは無く、旅としての自由自在を獲得していくわけですから。

その点、単なる動くレベルのレジャーは経験としてはありますが、進化が無い。大人の遊びは自分自身の進化を自分で確認していく処にあるのではないでしょうか?レジャーが駄目とは決して言ってません。それだけじゃあ不十分ではないか?という事です。

ボートだって、稼働率が高いのは釣りの人です。釣りには同じ様に工夫があり、上達があります。操作が簡単なのは良いんですが、そこに留まってしまうとボートだって、ヨットだって、そのうち動かなくなる。それだけじゃあ面白く無いからです。実際、そういうのがたくさんあります。

ゴルフもテニスもあらゆるスポーツは上手くなった方が面白い。楽器演奏も、絵画も、陶芸も、あらゆる芸術も上手くなった方が面白い。あらゆる趣味は進化向上する事によってのみ面白さを獲得できるのではないでしょうか? 音楽鑑賞が趣味? これに上手い下手はありませんが、趣味の人は詳しくなります。同じ事だと思います。大人の遊びには、より知る事、上手くなる事、こういう進化発展が必須ではないかと思います。

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