第六話 現役続行


      

長年親しんできたヨット、歳だからってやめるのは寂しい。現役でいたいから、そこで彼らが最後に求めるのはデイセーラーというケースは少なくありません。欧米のデイセーラー市場を支える要因のひとつでもあります。

もはやロングに行く事も無い、レースで必死になる事も無い、ただ、気軽に自由自在のセーリングを味わっていきたい。彼らはもはや大型艇に興味は無い。むしろ小型艇の方が気軽になれる。でも、単に小さければ良いというわけには行きません。彼らはヨットの事を知っているし、プライドもある。そういう彼らがデイセーラーを求める事になります。だから、世界には多くのデイセーラーがあります。様々なデザイン、様々なサイズ、様々なパフォーマンス、さらに、プロダクション艇で満足できない強いこだわりを持つ方はカスタムで建造する人達も少なく無い。昨今、大型艇ばかりが目立ちますが、欧米には高品質で個性豊かな小型艇もたくさんあるんです。

写真のオーナーもそのひとり、最後のヨットとしてカスタム建造を求めた。27フィートの木造クラシック、2015年にカスタムにて建造されました。マストはカーボン、エンジンはエレクトリック、デザインはハーショフ氏のアレリオンのラインを引用しつつ新しくデザインされてます。オーナーの最後の艇に対するこだわりが見えてきます。

最後のヨットとして、自分なりのこだわり、個性を発揮するというのは如何でしょうか?これはとっても面白いと思います。時々、もう年だから新艇を待っている時間なんか無いなんて言う方もおられますが、でも、いろいろ検討する処から既に面白さがは始まっているんです。それに後何年乗れるかも解ら無いのに勿体無い。という方もおられます。でも、好きな事やって勿体無いなんて、やら無い時間は勿体無く無いのだろうか?生きる事は自分自身を表現する事ではないかと思います。

もちろん、デイセーラーに限るわけではありません。自由自在に楽しみたいヨット、自分の個性を最高に楽しむ事、それが大事なんだろうと思います。ただ、何でも良いけどシングルで自由自在になれるサイズが良いのかなと思います。最後は誰も宛てにせずとも、いつでも自由自在を確保しておきたいから。それでたまには家族を乗せてあげます。

全ては考え方次第。引退するのも自由ですし、続行するのも自由。でも、これからどう過ごして行くかは、恐らく人生で最も重要なのではないかと思います。最高の自分というのを考えてみませんか?その観点でヨット、ヨットライフというものをもう一度考えてみては如何でしょうか?いつまでもワクワクしていたいじゃないですか。

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