第七十八話 真面目な不良老人


      

老人と呼ばれるにはまだ抵抗がありますが、でも世間的にはそうかもしれない。それは兎も角、せっかく年とって様々な制約から解放され、或いは軽減されてきたなら、この際、不良老人になれたら、これからの人生、とっても面白くなりそうだ。と言ってもワルにはなれませんから、真面目に遊ぶ不良老人です。

昔イケメンだった人も年齢を重ねてくると皺が増え、筋肉はたるみ、白髪になったり、薄くなったり。もはやルックスで勝負できるものでは無くなる。今更、ライザップも面倒くさい。だから、これからは内面と行動で勝負する。スポーツと言っても、もはや昔みたいには動けないし俊敏さも無い。でも、セーリングだったらやれる。幸か不幸か世間的にはセーリングは難しそうに見えるらしい、それに体力もそんなには要らない。それを自由自在に操れるとしたら?



デイセーラーの遊び方はヨットに固執しない事。自分の遊びの全てをヨットに求めない事、他の事も楽しみつつ、セーリングも楽しむ。デイセーラーの良さはそんな気軽さにある。奥さんと旅行したり、友人と飲んだり、或いは他の趣味、スポーツもある。そしてそれぞれにやる時は本気で遊ぶ。セーリングする時は本気で走らせる。

セーリングは頭を使うし、感覚も使うし、身体も使う。そのバランスがとっても良い。さらにその相手が自然なんだから、自然に感謝すれこそ文句を言う気にもなれない、だからストレスも溜まらない。そして上手くなればなる程、より楽に、より多くを味わう事ができる。セーリングも含めて、いろんな遊びに夢中な老人、少々不良っぽく見えるぐらいが丁度良い。

これから始めたとしても最低5年や10年はできる。この間にセーリングを極めるぐらいのつもりで、乗る時は本気です。どれだけ極められるかは解らないが、そんな事知ったこっちゃ無い、ただ、宣言だけはしておこう。その方が張合いにもなる。初期の自由自在感ならそう時間はかからない。でも、セーリングの深さはそこからがもっと面白いくなる。

できるもんなら2シーターのオープンスポーツカーを乗り回して、セーリングも楽しんで、ゴルフもやって、好きな事、できる事何でもやって、でも、たまには奥さんを招待したり、旅行に連れてったりという事もする。いたって真面目な不良老人です。”年齢にも負けず、体力の衰えにも負けず、様々な遊びをたしなみつつ頭脳と感性を洗練させていく。そんな真面目な不良老人に私はなりたい。” 



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