第七十五話 イーグル 37 初披露


      

料理は下手、掃除も洗濯も得意じゃ無い。けれど抜群のスタイルで、飛びっきりの美人ときた。それに性格も良い。例えるならそんな感じかな? そんなヨットが楽しく無いはずが無い。オランダのイーグル37デイセーラー、ついに、ドイツのデュッセルドルフボートショーにて初お目見え、注目の的なのです。この第一号艇も既に契約済だとか。何だかんだ言っても、ヨーロッパはやっぱり活気があります。



前後の長いオーバーハングを持つクラシックスタイルにモダンな走りを融合したイーグルヨットの美しさ、もうこれだけで欲しくなります。この洗練されたクラシック感は気持ち的な重さを感じさせませんね。それに品がある。SADRは22.1 と、これまた良いスイスイ感を味わえる。セール面積はクルージング艇で言うなら33フィート程度のセール面積しかない。にも拘らず排水量は30フィートよりもずっと軽く、それの60%程度。だからこのパフォーマンスが実現できてます。ちなみに、バラスト比は約41%。

もちろん標準でシングルハンド、グッドデザイン、グッドパフォーマンス、三拍子揃いました。これにファーリングのコードゼロとウィンチを電動にすれば完璧ですね。シングルで楽勝、スイスイ走れます。



ところが、正直言いますと日本ではなかなかこれを受け入れる方が居ない。何故? このキャビンのせいでしょうか?とても37フィートのヨットとは思えない。今時、30フィートだってもっと広いだろうと皆さんそう思う。でも、海外では人気が高いんです。彼らはこのデイセーラーに高い居住性なんか求めていない。せいぜい、週末のアフターセーリングにちょっと泊まれる程度で良いんだ。それもたま〜に。それより、居住性を高くして美しさを損なったり、パフォーマンスが落ちたりの方がいけない。このヨットの乗り方は、美しく走らせる事なのです。

ただ、日本では未だその時が来ていないのかもしれません。美しいヨットを美しく走らせる。大海を渡るでも無く、別荘にするでも無く、気軽にゆったりスイスイ、時に本気でスイスイ、それで充分という価値観もあるんです。それにシングルだから、いつでも気兼ね無く、誰でも誘える。シングルはひとりで乗る為だけにあるわけじゃない。こういう価値観があるからこそ、イーグル44や54なんかを求める人達も居る。だからって乗り方が変わるわけじゃない。より美しくって感じかな?日本も早くそういう時代が来ると良いんですが。日本にはまだイーグル44の一艇しかありません。

気が向いた時にフラリとセーリングに出る。1時間でも2時間でも上質の快走感を味わってくる。それだけじゃ駄目なんだろうか?美しいヨットを美しく走らせる。そんなスタイルもあるんです。ちなみに価格はフルチークデッキ、ステアリングホィール仕様で3、000を少し超えます。それを高いと見るか安いと見るかは価値観次第、良い気持ちの値段です。


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