第五十九話 夫婦旅


      

引退後に夫婦で旅行したりという方々は多いものです。最近は観光列車や客船での船旅なんかも人気が高いと聞きます。ならば、夫婦でヨットの旅は如何でしょう?もちろん近場で無理の無い旅、30フィート前後の比較的コンパクトなヨットはそういう使い方に相応しいのではないかと思います。

一挙に遠く迄走る事などせずに、細かく刻んで行く。取り扱いのし易い小型艇だからこそ気軽に行ける。小型艇と言っても、メインサロンがあって、バウにはベッドルームがあるし、ヨットに寄っては後部側にももうひとつ。充分だと思います。何でも広ければ、大きければ良いというわけでは無い。もちろん、個室トイレ、ギャレー等があり、大型艇との違いはひとつ一つの広さの違い。でも、夫婦二人ですから。

さて、そんな夫婦旅にお薦めしたいのが、先日ご紹介したTES28とTES32、加えて、今回ご紹介したいのが写真のヨット、クラシックデザインのコンパック27です。これは米国製ですが、最初のデビューは約30年前になり、その後マイナーチェンジは行われてきたものの、基本的には今でも同じデザインで中古艇の人気も高い。だからロングセラーになるんでしょうね。クラシックデザインは時代の流行りに左右されませんから。もちろん、ステアリングホィール仕様です。

さて、実は、上の写真は25年前の中古です。ハルにバフ掛けしたら何とキラリと輝いた。これにはちょっと感心させられました。デッキも磨いたら全体が美しく蘇りました。25年経っても全然遜色がない。こういう処にも人気の秘密があるのかもしれません。

排水量/バラスト比は40%を越え、キールは少し前後に長くして吃水を浅くしているのでどこでも行ける。吃水は1.07mです。このヨットのエンジンはヤンマー2GMですが、今の新艇はヤンマーの3YM20だそうです。さて、セールの方を見ますと、セール面積/排水量比は何と18を超えます。せいぜい15程度と予測していましたので、これにはちょっと嬉しい驚きです。この要因はジェノアがバウスプリット先端から出ている為、その分セール面積が大きくなっています。標準は135%です。最近セルフタッキングジブが結構有難がられていますが、デイセーラーなら兎も角、旅を想定するならタッキングはあまりありませんから、通常ジェノアの方が良いかなと思います。

キャビンを見ますと、天井高は1.85mあり、左右にソファー、左舷側はダブルバースにもなり、右舷側は背もたれを上げて二段バースにもなります。ですから、いざという時は全部で6人分のバースが確保されてます。普通は必要無いですが。いざという時はです。そして、中央のテーブルは二つ折にしても使えるし、使わない時はバルクヘッド側の棚を隠すように完全に折りたたむ事もできます。そうするとかなり広く使えますね。これらは小型艇ならではの工夫です。

バウバースはこの写真のモデルではオープンでカーテンがあるのですが、現行モデルはスライドドアになっているそうで、プライバシーがより確保されている。



後部側を見ますと、個室トイレとギャレー、ギャレーは小さ目ですがショートクージングを気軽に、夫婦単位で楽しむという事を考えると充分ではないでしょうか。中央のステップ裏がエンジンルームで、後部側はコクピットの左右のロッカーからアクセスできます。ですからメインテナンスもし易いです。



日本の一般的奥さんはヨットに来ないというのが定説でした。でも、コンパクトなヨットで近場を気軽に旅をする。仕事引退して、奥さんも相応に歳を重ね、子供達は独立し、これからは夫婦でのピクニックから近場への旅を考えたら如何でしょうか?旅は決して遠くにいくだけじゃない。日帰りでも一泊でも良い。ちょっと出れば、それだけでも楽しくなります。非日常です。

   旅先で、コクピットで、海を眺めながら
   ビールなんかいただく。大人の旅です。
   ヨット泊でも良いし、ホテル泊でも良い
   し、温泉も良いし、一度に長い距離では
   無く、小刻みに旅するのがコツでしょう
   ね。もちろん、2,3時間走って、日帰
   りとか一泊程度とか、それも良い。
   気軽なら年間に何度も行けます。旅先
   がマリーナなら、安心してヨットを置い
   て帰るなんて事もできるわけで、復路
   は後日にでも良いわけですから。
   そのぐらい気軽く、夫婦旅を考えてみ
   ませんか?




大型艇ばかりが目立つ昨今ですが、海外ではちゃんと小型艇の需要も多い。だからいろんな小型艇がたくさんあります。気軽に、楽しく、面白く!! と言う事でクルージング艇は、TES28&32、そしてコンパック27を加える事にしました。各モデル(新艇)については、気軽にお問合せ(TEL&メール)頂ければ幸いです。

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