第三十四話 TES 28 ポーランドから


      

ポーランドの造船所にて建造されたTES28、クルージング艇です。写真は出荷時の一枚。輸送の事を考えて、キールやラダーは外してます。白いカバーはシュリンクラップと言って、熱を加えれば収縮してフィットします。幅の関係上、コンテナのボックスには入りませんので、コンテナの壁が無いフラットラックというコンテナに積み込みます。

造船所にヨットを発注し、仕様の打ち合わせ、完成が近くなったら、輸送会社に連絡して、造船所まで取りに行かせ、港へ運んで輸出通関からコンテナ積み込みまでをやってもらいます。そして、海上輸送保険をかけて、現在は海の上。航行期間はそれぞれですが、今回は約一ヶ月ちょっとかかります。比較的早い方です。

本当はポーランドのグダニスクから出す予定だったのですが、急遽、グダニスクからの配船が無くなり、ドイツのハンブルグ迄輸送する事になりました。このヨットはもちろん、博多港に到着です。着きましたら輸入通関、時々税関からX線検査とか現物検査とかを要求される事もあり、これは拒否はできません。検査はあって当たり前。何にも変な物はありませんが、日本のどこかで変な物が見つかると、全国一斉にもっと厳しくなる事もあります。それで、税金とここでの費用を払って福岡のマリーナへ。それから艤装、小型船舶の検査等々になります。流れはざっとこんな具合です。


さて、ご存知でしょうか? 日本では港の整備がかなり遅れています。デフレ?政府の借金?公共事業はまかりならん。世間はずっとそう叫んできました。そういう状況が20年以上も続き、公共投資は激減、港の整備も知らぬ間に世界から遅れを取ってしまった。それで、取扱量が激減してきたそうです。何故なら、今日タンカーが大型化し、従来の港では入れない様になってきた。それで韓国のプザンとかを経由して乗せ換えるわけです。この情けない状態、どう思います?おっと、失礼、話が脱線してしまいました。

8月にはTES28がやってきます。個人がプライベートで自由自在に楽しむには充分なサイズです。昨今のヨットはボリュームが大きくなりましたから、28フィートでも充分だと思います。もちろん、このヨットはラット仕様、それにおきまりのオートパイロットやデプスなんか設置しています。新艇の艤装、この夏の暑さで、かなり厳しくなりそうですが、艤装は結構楽しい、何だか造船の最後の仕上げをしている様な気になります。

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