第十九話 開拓者


      

 

ヨット界に後継者が居ないと言われて久しい。若者はどこへ行ったのか?誰がヨット遊びを面白く無いものにしてきたのか?考えてみれば、自分達が楽しんでもいないものを、若者たちが受け継ぐはずも無い。そうしてきたのは我々自身なのではなかろうか?

それを今更言っても仕方が無いのですが、でも、これから何とかしたい。老人ばかりのヨット乗り、仕事引退して、全ての責任から解放され、やる事無くて暇を持て余すぐらいなら、健康ばかり気にしないで、これからはセーリングの開拓者になる。老人である事は案外有利な状況かもしれないのです。

何も守るものは無い。誰かの期待に応える必要も無い。体力は少し落ちて来たかもしれないが、セーリングはそんなに体力使わなくても、自分なりのやり方でできる。それより頭は使うし、感覚も使う。人間にとって、とっても良い刺激になる。情熱を持って、何かを探求していく方が人間として魅力的だし、恰好良いと思います。考えてみたら、この方が健康的だし、これからが人生で最も輝くチャンスかもしれない。

海は冒険の場所、未知の世界、知識的に知っていても、目の前の海でさえ、体感的には知らない。だから、セーリングやって、いろいろ冒険して、多くを味わって、面白い人生にしてはどうだろう。何もしないで、何でも避けて、無難に長生きしてもしょうがない。どうせ、そのうちみんな尽きるわけですから。当然、私もそのひとりです。

我々がセーリングの開拓者です。そして、そういう方々が増えてきたら、次世代への伝達者にもなる。少なくとも、自分の回りの人達にアピールはできる。でも、キャビンでごろごろしてたんじゃいけません。頭使って、より感じて、セーリングを自分のものする。自由自在の味わいを獲得する。どこまでやれるか?そんな事気にする必要も無い。

こんな事、暇のある老人じゃ無いとなかなかできません。老人と海、そしてヨットであります。もちろん、世間的には老人なのかもしれませんが、我々自身はそんなには思っていない。お爺ちゃん、長生きしてね。有難う。でも、余計なお世話。やりたい事やります。これぞ理想的な終活ではないかな〜と思います。もちろん、経験無くても、これからヨットを始めるのでもOKです。セーリングは簡単から始めて、深く掘り下げていく遊びですから。そんな開拓者には、やっぱりデイセーラーが最も相応しい。

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