第十四話 何故、デイセーラー?


      

 
あるスポーツカーのオーナー、何故、スポーツカーなの?と聞くと、乗って楽しいし、面白いからとの事。何処かにより早く着きたいわけじゃない。どうせスピード制限あるし、そうじゃ無くて、スポーツカーの走るフィーリングが楽しいし、運転していて面白いからだそうだ。ちなみに、上の写真は彼のとは違いますけど。

これって、もし聞かれれば、デイセーラーでも同じ答えを返します。スピード性能はいろいろあるが、走ってるフィーリングが楽しいし、それにヨットならではの独特の操船もある。それにも面白さを感じます。スポーツカーもデイセーラーも、その為に様々な走る為の工夫が成されています。それがパワーであり、剛性であり、軽量化であり、重心の低さであり、特別仕立てなのです。別に高速ですっ飛ばさなくても楽しいのです。ただ、車と違って、自然に左右されるセーリングですから、ならば、そこをも楽しむ事にします。

人は目に見えるメリットを目的にしがちです。レースで勝つ為、目的地に着く為、でも、デイセーリングは自分のフィーリングの為です。それは必ずしも快走のグッドフィーリングだけでは無く、セーリングから様々な感覚を味わう為と言えます。出たその日のセーリングを味わってくる。一回だけじゃあたいした事は無い。しかし、出れば、それは毎回異なるフィーリングです。それをたくさん積み重ねていきます。言ってみれば、それが全てです。パフォーマンスは当然重視なのですが、それをベースとして求めるはフィーリングだと思います。その為にも上達したいと思います。それでフィーリングも変わるからです。それで、長年積み上げて来た味わいは、どうなるか?

これはひょっとしたら理解しがたいかもしれません。でも、セーリングに意識を置いて、味わいを積み重ねていくと、目に見えないものが体感として積みあがっていきます。実感として残り続けます。ただ、セーリングした、どこどこ走った、何ノット出たというのとは違い、どんなフィーリングだったか。毎回異なる味わいを大事にするセーリング、だからこそ、気軽に、シングルも可能にしておく。

エアコンの効いた広いキャビンで、ゆったり寛ぐのもリッチな気分で良いかもしれませんが、それより、美しいヨットを自由自在に走らせる方に魅力を感じます。下の写真はイーグル44、クラシックデザインで美しいでしょう。このサイズだって、シングルで自由自在なのです。本当です。疑う方はご案内しますよ。

デイセーリングはどんなヨットだってできます。しかし、セールフィーリングは違います。どこにも行かないセーリング、競わないセーリング、しかし、そんなセーリングにこそ魅力を感じます。


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