第一話 アレリオン28ー30周年


      

時の経つのは早いもので、アレリオン28が誕生して30周年を迎えます。30年も前のデザインが今だ持って色褪せる事無く存在している。しかも衰えない人気はその完成度の高さを伺わせます。しかし、この30年間に何も変わらなかったわけではありません。全体の見た目は変わっていませんが、いくつもの進化を遂げてきました。

エンジンはシャフト式だったのがセールドライブに変わり、キールのデザインが変わり、内装、コクピットのデザインも少し変更されてきました。さらに、ジブブームも登場しました。トランサムに収納できるラダーも登場しています。そして、この度の30周年においては、さらにいくつかの進化が見られます。

写真の様に、まず内装レイアウトの変更。右舷側のシートは狭かったのですが、それが広くなり、キャビン入口のステップが変わり、左舷側前方にもカウンターが付きました。さらに、シートの背もたれ側に収納を設けています。変更はこれだけでは無く、船底の補強材、内装、バルクヘッド等も全てバキュームインフュージョン工法を使い、船体とのより一体性によるさらなる船体剛性の強化を図っています。内装の壁も変わってますね。

しかし、アレリオン28が30年経ってもなお健在なのは、これらの進化だけでは無く、デイセーラーとしての完成度なのかもしれません。その後、多くのデイセーラーが誕生してきましたが、確かに、スピードポテンシャルとしてはより速いヨットが登場してきましたが、それでも尚、アレリオンの人気は衰えていない。この事は、セーリングに求めるものがスピードだけでは無い事を示しています。

スピードパフォーマンスが重要である事には変わりませんが、その他、デザイン、味わい、操作性、セールフィーリング等々の良し悪しなんかも同じ様に重要な要素です。そういう意味でアレリオンの持つポテンシャルは高いと言えると思います。現在、世界中に生まれて来たデイセーラーの原点がここにあります。

 


 

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