第四十九話 F&W 37 デイセーラー


      

カスタムでデイセーラーコンセプトを実現した人が居ます。いろいろこだわりもあったんでしょう、それで、カスタム艇を求めた。究極のヨットを望むなら、完全カスタムになるだろう。全てのデザインを起こして、一艇だけの建造になる。そうなるとFRPではモールドが必要になるので、木造艇という事になり、実は、世界は木造艇の建造が今でも盛んなのです。ただ、外皮にはグラスが積層され、FRP艇と変わらない。

昔の木造とは異なり、木材の繊維の方向性を違えて3層ぐらいを貼り付ける。木造は軽く、強く、振動を吸収すると言われる。考えてみたら、今日のFRPだって、バルサとかのサンドイッチ構造なのです。木造の場合は、そのコア材が強い。

セルフタッキングジブにメイン、それにファーリングジェネカーという組み合わせは定番ですね。マストはカーボン製です。このヨットをデイセーラーコンセプトとして使う。遠くには行きませんという感じでしょうか?それより、シングルハンドで帆走性能が高い方が良い。それにクラシック感が好きだ。いろんな要望を入れて行くと、カスタムに行き着いた様です。





シンプルな内装、これで充分旅も楽しめる。バウ側にはバースがひとつ。これで充分でしょう。いろんな物造ったら、その分重くなって、帆走性能が落ちてくる。長旅も必要無い。

見た目と違って、排水量は5,080kg、このサイズのクルージング艇より遥かに軽い。カスタム艇のメリットは、オーナーがどんなセーリングで、どんな居住性を求めているかを実現できる処にある。もっと軽くしたら速くなるし、或いは、居住性を重視したら、重くなる。どうにでもなる。それがカスタムのメリットです。

カスタム建造は兎も角として、従来のクルージング艇は、スペースを余す所なく使うのが良いとされ、どこを開けても荷物が入ってたりしますが、こういうデイセーラー志向のヨットでは、レイアウトに余裕が感じられてくる。荷物はそれ程積み込まない。その必要も無いので、かえってスッキリすると思うのです。

結局、カスタムかどうかはでは無く、従来のクルージング艇に対する考え方に変化が起こってます。簡単に言えば、そこまで必要だろうか?住み込むなら別ですが、そうじゃなければ、距離的にも、時間的にも、ロングじゃ無ければ、そこまで必要無い。むしろ、シンプル化した方が気軽になれる。

多分、欧米のヨットに対する捉え方が、”カジュアル” というテーマが持ち上がってきているのではないかと思います。もちろん、従来のロングをする方もおられますが、大半は、忙しさもあって近場に居る。それは、時間の問題もあります。多くの方々が、デイセーリングか、近場の旅なのです。ならば、それをカジュアルにできるようにした方が良い。しかも、デザインとしても美しくできる。 これからはカジュアルになれるかどうか?

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