第二十六話 メインテナンスの意味


      

人の感覚というのは、自分が思っている以上に鋭いもんだろうと思います。変化に気が付かないのは、他に気を取られているか、或いは、何かのせいで鈍っているか、かもしれない。その何かって、メインテナンスではなかろうか?

メインテナンスが良かろうが、悪かろうが、その状態がいつもの事なら、それが体に記憶され、それがセーリングのベースになってしまう。ヨット本来の性能を発揮させるには、グッドメインテナンスにしておかなければ、腕だけ上げても効果は薄れる。

汚れた船底だけでは無く、硬くなったシート類とか、舵とか、ブロックやウィンチ類も、動くものはスムースであった方が良いに決まっています。操作し易くするのもメインテナンスですから。そのうえで走らた方が、よりヨットの性能を味わう事ができます。

そういう感覚をベースに、自分の技量が上がって行きますから、セーリングはますます気持ち良くなっていく。他のヨットに乗った時なんか、その違いに、良いも、悪いも、驚いたりする事もある。そういう感性が磨かれていくと、ふっと加速したり、滑らかなセーリングであったり、より多くを感じる事ができる。

それともうひとつ、そんな細かい事、面倒くさいな〜と思ったりしますが、これが意外、自分の感覚が、解ってくると、そのメインテナンスが面倒で無くなる。そういう効果もあります。セーリングにしても同じで、解るか解らないかであり、面倒くさいと感じるのは、解らないからかもしれません。微妙とか、繊細とか、解れば面白くなり、解らなければ面倒に感じてしまう。

そうすると、ウィンチを自分でグリスアップしようという気持ちになったり、その他、いろいろなメインテナンスを楽しめる様になれる。しかも、さらに、自分のヨットに詳しくもなれる。メインテナンスは良い事ばかり。そうか、例えば、ギターを弾く人は、ギターを正確な音にチューニングしますが、それと同じ事で、ヨット全体をチューニングして、そうなると、自分自身をもチューニングする事になるという事かな?解る、気が付く、感じる、これって、気持ち良くなると思います。


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