第九十話 自由自在主義


      

写真はイタリアのデイセーラー、ディナミカ940。排水量2,200kgに対しバラストは1,170kg、そしてセールはスクウェアトップときたら、これだけでこのヨットのパフォーマンスが想像できる。既に日本にも進水させました。こんなハイパフォーマンスでも自由自在。それがデイセーラーの在り方。

レーサーはトップを目指し、クルージング艇は旅の目的地を目指し、そしてデイセーラーは自由自在を目指す。ディナミカの造船所で聞いた話だが、これだけのハイパフォーマンスだからレース三昧かと思いきや、意外や意外、レースもやるが、最も多い使い方はレース以外のシングルや家族、友人達とのセーリングを楽しむ事なんだとか。

ハイパフォーマンスなんだからレースと短絡的に結びつける必要は無い。日本だと、こういうヨットを見るとすぐにレースを思う。そんな決まりは無くて、乗りたいヨットに乗り、乗り方も本当は自由だ。そうじゃなきゃデイセーラーを選択する意味が無い。レース主体ならレーサーで良い事になる。

デイセーラーにする意味はどんなにハイパフォーマンスだろうが、レースとかに限定する必要は全く無く、そのハイパフォーマンスをシングルで自由自在に走らせられたらどんなに良い気分になれるだろうという事。 デイセーラーには様々なパフォーマンスのヨットがある。自分に合ったパフォーマンスのデイセーラーを選んで、自由自在を目指す。主目的はこれになる。その合間にはピクニックがあって、近場への旅もある。もちろん、レースでも良い。

いかなるヨットであろうが、自分のヨットを自由自在に操作できてこそ、いろんな事を楽しめる。大きかろうが、小さかろうが、クルーを必要としようがしまいが、自分のヨットを自由自在に走らせられるというのが、最もヨットを楽しめる方法だろう。この自由自在は誰よりも速く走れるという事では無く、自分のヨットを理解して、臨機応変に、気軽に、いろんな状況に対応できる、まさしく自由自在です。そして、デイセーラーなら、それをシングルでできる。それがどんなにハイパフォーマンスであってもレーサーとは根本的に違う。

デイセーラーである事の意味は、シングルで自由自在セーリングです。

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