第三十九話 たまたまの快走



      
良い風吹いて快走を味わう事があります。気持ち良いですね。でも、これはたまたまの風に寄るたまたまの快走に過ぎません。こんな時は、腕の良し悪しに関係なく、誰でも味わう事ができます。しかしながら、次にいつ快走を味わえるかは分かりません。むしろ、風が弱すぎたり、強すぎたりの方が多い。だからこそ、快走はより気分を盛り上げてくれるわけですが、でも、快走以外をどうするか? 

快走を求める事に問題がある。滅多にはないし、風を制御できるわけでも無いのですから。快走を求める事はそれ以外のセーリングを台無しにしかねません。セーリングを長期に渡って楽しんでいく方法は、セーリング全体を如何に楽しめるかではないかと思います。

レースを楽しむ人達は、レース中にどんな風が吹こうが、常により速く走らせる事に一生懸命です。微風だからと言って手を抜く事がありません。それが順位に関わりますから当然ですが、レースの面白さはスピードそれも数値的なスピードと順位に多くの意識が注がれると思います。ところが、デイセーリングの場合は、スピード値よりスピード感、そして順位はありません。その代わり、セーリングそのものの味わいにより多くの意識が注がれる。

つまり、同じセーリングでも、レースとデイセーリングは意識の在り方が全く異なります。つまり、楽しみ方が異なります。デイセーリングに求める事は、レースと同じように、どんな風でも一生懸命走らせるという事で、快走だけを狙っているわけじゃない。微風から強風まで、意識をセーリングにおいて、その時々のセーリング味わうという意識が無いと、たまたまの快走だけでは長続きできないかもしれません。

だから、ヨットのセーリング性能が重要で、オーナーもより知識を増やす事、腕を上げる事が大きな意味を持って来ると思います。それは快走に備えるのでは無く、どちらかというと快走以外のセーリングをより楽しめるようにする為ではないかと思います。

        

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