第十七話 分類と専門化



      
この30年ぐらいのヨットの変化は著しいものあります。新しい素材の開発、技術の進歩、新しい工法も使われるようになりました。また、別な面から見て見ますと、用途も変化してきます。それはヨットが変わってきたから用途が変化するのか、或いは、用途に合わせてヨットが変化するのか、多分、昔はヨットが用途を変化させてきたが、最近では、用途がヨットを変化させてきている様に思います。いずれにしろそれらの変化は、各ヨットのジャンルをより明確に分け、専門性が強くなってきたと思います。

最近の著しい変化は、例えば、レーサーで言えばワンデザインレーサーが非常に増えてきた事です。日本では少ないですが、欧米ではたくさん出てきています。レーティングに捉われる必要が無いから自由なデザインができる。レーサーの速さは絶対的なスピードの他、レーティングを加味した上での速さもあるわけですが、ワンデザインにはそれが関係ありません。

クルージングの世界では、カタマランの台頭も著しい。特に、外洋性のあるカタマランでは、ロングクルージングにおいてキャビンは広いし、何と言ってもヒールしないでの疲れにくい。世界を廻るヨットでは、カタマランが増えてきています。 それとモノハルではパイロットハウスタイプです。もちろん大型艇。小型ですとトップヘビーになり易い。ハードのパイロットハウスは時化た時なんかには良い。

さて、それと当然ながらデイセーラーです。近場に焦点をあてて、セーリングを堪能する。昔の小さいからキャビンが狭いか無いかでデイセーラーと呼ばれていたヨットとは全然違います。今日では60フィートのデイセーラーあるぐらいですから。

ワンデザインのレーサー、外洋艇としてのカタマランとパイロットハウス、それにデイセーラー、つまり、遠くか近くか、それを明確にして、よりその分野において専門性を高めたと言えます。もうひとつの分野である沿岸のクルージング艇は、御存知の通り、キャビンを拡大し、装備の充実を図ってきました。これで、別荘するにも、クルージングにも快適になった。

という事は、使う側がどういう使い方をするか? これが明確になされる方が、より楽しめるという事だと思います。昔は、他に無かったから何でもかんでもですが、時の流れは進化を促し、各分野別の発展により専門性が強くなってきた。もはや何でもかんでもは中途半端になりかねない。

具体的に何をどう味わいたいのか? それを明確にして、他は整理整頓。そうすれば、どの分野でも、面白さが深まると思います。

        

次へ       目次へ