第一話 スピードと味わい



      
車の世界でスーパーカーがあるように、ヨットでもスピード追求のスーパーヨットが次々に開発されています。この場合のスーパーはでかいとう意味では無く、超ハイスピードという意味です。 スピードは進化を表す明確な表現方法だと思います。 

また、一方では、スピード追求では無く、味わいとかフィーリングとか、特にクラシック系のデザインなんかは、これまた別の世界があります。どちらにしても、市場がそれを支えています。

スピードは数値で明確に結果が出てきますが、味わいには各人の感性が深く関わりますから、なかなか難しい。 見た目のデザインも重要ですし、スピードももちろん味わいのひとつです。 どこにバランスを求めるかはセンスの問題ですかね。 スピード追求はより速いのが正解という事になるでしょうが、感性の方は正解が無い、と言いますか全てが正解とも言えます。

それぞれの方々に独自の感性があるわけですから、その感性のフィット感がどこにあるか次第。スピード追求も味わいも、自分独自の感性を楽しむという事が、遊びの本質なのかもしれません。結局、何が好きなのか? そこを味わう時は至福を味わう事になります。

スピードはそこそこでも、セーリングの滑らかさに、デザインの美しいカーブに、コクピットの座り心地に、船体の動きに、舵のフィーリングに、あらゆる部分に、実に様々な感覚を得ます。楽しいとか面白いとか、そういう単純な表現だけでは片づけられません。 スピードもフィーリングのひとつとして捉えても良いのではないかと思います。 数値としてでは無く、感覚としてのスピード感。 フィーリングは理屈ではありませんので、何故好きかと問われても答えられません。

理屈優先のこの時代、もっと感じる事を重視した方が良いと思ってます。だから、いつも今何を感じているのかを意識してみては如何でしょう? 自分の感性がより明確に解っていくのではないかと思います。
同じスピードで走っても、走る感じは違います。

        

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