第七十五話 あるクルージング艇



      
そのヨットはでかい。でも、バウスラスターもスターンスラスターも付いてますから簡単にひとりで出し入れができます。広いコクピットにそれこそ広いキャビン、フル装備のギャレー、発電機にエアコンは当然です。考えられる、ありとあらゆる装備がここにはあります。

誰もが、良いなと思うかもしれませんね。こんなヨットが欲しいと。でも、良く考えて欲しい。もちろん、このヨットが合うという方もおられます。でも、みんなでは無い。仮に予算がいっぱいあったとしても、合わない人にはお勧めできません。

昔はそんなヨットに誰もが憧れた。でも、ヨット文化が徐々に浸透していきますと、そうでも無くなります。何故なら、自分のスタイルなのか?という事が解ってくるからです。欧米ではメガヨットがたくさんあって、でも、20フィート前後もたくさんあります。それは必ずしも予算から来るわけではありません。自分のスタイルです。あるアメリカの超リッチな方、でっかいヨットも持ってるが、もうひとつ小さなデイセーラーもある。結局、いつもこっちのデイセーラーに乗っているとか。

少しでも大きなサイズが良いとされた時代は終わりつつあります。自分が心地良いサイズ、面白く、楽しめるヨット、そういう方々が増えてます。料理なんかした事無い。お湯を沸かす程度? ヨットに泊まる事も殆ど無い、せいぜい1,2泊? 1か月も連続して休めない。でも、近場だからこそ堪能できる方法もある。大旅行は飛行機で行けば、世界のどこだって飛んでいけます。そこでチャーターヨットも可能です。考え方次第です。これからは、何が面白いのかと一歩進めて考える。

33フィートのキャビン。シンプルですね。広さも充分過ぎるぐらい充分だと思うのですが?
        

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