第五十五話 感覚ファン



      
モダン系デザインがもっとスピードを目指し、一方で、クラシックファンは、セーリングの味わいを愛でる。皆さん、それぞれで楽しんでおられます。どちらにも魅力があります。レースで無くてもスピードは魅力です。ただ、そこそこスピードは欲しいが、様々な味わいも重視したい。滑らかさ、柔らかさ、硬さ、人間のあらゆる感覚を楽しみたい。

少し速く走らせる努力をして、その時スピード計を見ますが、でも、感覚としてのスピードも重視したいと思います。デイセーリングは感覚セーリング、その滑らかさや、ヒールする動きや、あらゆる動作に感覚としての変化を味わいたいと思います。

そういう意味では、クラシック系デザインはモダン系程スピードが速いわけではありませんが、でも、感覚セーリングにおいては、なかなか面白い。スピードボートより安定性は高いし、それぞれの乗り味があります。だから、どれが良いかという問題では無く、それぞれ違うという事です。

セーリングに滑らかさを感じる時、それはスピードが速いというのと同じぐらいの気持ち良さがあります。感覚を重視して走らせればこそ、感覚が磨かれる。スピードも感覚です。だから、スピード感を大事にしたいと思います。

我々は考える事と感じる事の二つを持っていますが、これに体の動きを入れたのが我々で、日常的には、感覚より考える事の方が優先されます。だからこそ、セーリングでは感覚を優先させてこそ、非日常性が強くなる。スピードも数値が面白いのでは無く、そのスピード感が面白い。感覚を研ぎ澄ませて、より味わいを深くする。そこを大事にしたいと思います。デイセーラーは感覚ファンの為のヨットです。


アレリオン28の元となったハーショフ氏デザインのアレリオン26。今でもちゃんと建造さされています。
        

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