第七十二話 善玉ストレス



      
先日、単なる思いつきで、近所の山登りに行ってきました。普段の運動不足のせいで、登り始めてすぐに心臓がバクバク。脚も痛くなる。大きなストレスです。これで中止するのは、プライドが許しませんから、辛抱して、進み続けると、汗がしたたり落ち出して、やがて少し慣れ、気が楽になってくる。それで、何とか頂上に到着。ストレスから解放され、達成感もあって、何とも爽やか。これを味わった後の下り、今度はやたらと周りの美しい風景が目に飛び込んでくる。登る時には全く見ていなかったんです。

セーリングでも、皆さん経験があるでしょうが、時化で、何時間も緊張状態が続く。でも、人間って、しばらく続けると少しは慣れてきて、ちょっとは気が楽になる。別に、風が弱まったわけでも無かった。それで、何とか目的地に着くと、一気に解放されて安堵、大変だったな〜と笑いながらの酒も飲める。

デイセーリングでは、こんな何時間も強風を走る事は無いんですが、でも、集中力を発揮してセーリングをすると、これもある種のストレスかと思います。気持ちがピーンと張りつめた感じ、それで、終わって帰ると決めた時、気持ちは緊張から緩和に変わり、何とも心地良い気分になれる。

強風の中を何時間も走るようなストレスを、敢えて求めるような事は無いんですが、でも、意図的に集中力を発揮して、夢中になって走るセーリングは大歓迎。だから、セーリングは面白い。それに、集中力を発揮すると、何だか、実力以上に上手くなった気がします。感も鋭くなる。多分、余計な事は考えないからでしょうね。

ストレスを超えると、違う景色が見えてくる。ストレスも悪く無いのかもしれません。また、気持ちは緊張していても、体がリラックスできると、その緊張感も楽しめる。そんな気がします。丁度、紅葉の季節、下の写真はその時の一枚です。感動的なぐらい、とっても美しかったです。

        

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