第六十一話 60代



      
ヨット人口の中心は60代。何だか人生の区切りの様な気もします。さて、これからの人生をどうするか?
もし、仕事を引退されるなら、これからはたっぷりの時間もあるので、本当の旅に出ようという方もおられます。1か月、2か月、否、もっとです。それは多くの方々の夢かもしれません。今までは、仕事でそんな時間は無かった。でも、これからはそれが実現できます。

ただ、夢は旅だけにあるわけではありません。これからの時間を使って、セーリングを極めてやろうという夢もあります。毎日が日曜になるなら、しょっちゅうセーリングができます。微風から強風まで、日々変わる風に、あらゆるセーリングに上手くなるチャンスです。恐らく、多くの方々が、そういう風に考えた事は無いんじゃないかと思います。でも、セーリングに上手くなりたいというのも、素晴らしい夢です。

ヨットの夢は旅? と何となく常識的な風潮がありました。しかし、各人の価値観は違うものです。その自分の価値観に従う時、セーリングが好きなら、是非、セーリングに深く入って、その世界を見て頂きたいと思います。旅好きは旅をすれば良いし、セーリング好きはセーリングした方が良い。

ピクニックとは違います。学びも必要ですし、その学んだ事を実践して確かめる必要もあります。引退して、のんびりなんかはしてられないし、何しろ、何年ものんびりしてたら、それこそ老け込んでしまいます。面白さはのんびりする事では無いし、それより、夢中になって何かができる事ほど幸せを感じる事は無いのではないでしょうか? セーリング後の心地良い疲れと一杯のビール。最高じゃないでしょうか。ただ飲んでるだけとはわけが違います。

何気ないセーリングを、意識的なセーリングに変え、大雑把なセーリングから繊細なセーリングを目指す。1日にたった2〜3時間のセーリングに、集中力を発揮して、最高のセーリングを目指してみては如何でしょうか? これで何が面白いかって、やった人しか解らないかもしれませんが、自分の感覚が鋭くなる事、今まで気づかなかった事が感じられるようになる事。解るからできる様になって、できるからさらに解る様になって、自分自身の変化に面白さが湧き出てくると思います。そして、何と言っても、カッコ良くセーリングして頂きたいと思います。デイセーラーのモットーは、美しいヨットを美しく走らせる事。是非、チャレンジして頂きたいと思います。60からのチャレンジ、カッコ良いです。人生はカッコ良くなくちゃ。もちろん、50代も70代でも、チャレンジする処にカッコ良さがありますね。年齢なんかは関係ありません。チャレンジは新しい世界に入る事、その世界では生まれたばかりです。

        

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