第五十一話 マイヨット   



      
お気に入りのヨットを手に入れたら、それでいろんな事ができるわけですが、そのひとつとして、自分のヨットがどんな走りをするのか、確認していくという方法があります。いろんな風の中を、適当にその時の気分で走らせるのでは無く、きちんと目的を持って走らせる。マイヨットの性能を調べるみたいな感じです。これ、面倒くさそうですが、実際やってみると、結構面白くなると思います。

例えば、上り性能です。その日の風向に対して、まずは一定角度、例えば見かけのの角度30度とかで、走ります。最初は適当にセールを引き込んで、角度を重視。風向が変わりますから、その変化に舵で追随していきます。これは舵操作の練習になります。風の変化に注意しなければなりません。できれば、風向風速計とスピード計が欲しいです。

そこから、上り角度を詰めていきます。風に対して、何度まで上れるのか? ジブのリボンが真横に流れ、さらに上ると、斜め上に流れるようになり、それ以上わずかでも上るとセールの裏側に風があたってバタついてきます。そのギリギリの角度までを確認します。それが何度なのか、風速は何ノットか、ボートスピードは何ノットか、ヒール角度は何度か、そういうデータをきちんと確認します。或いは、少し落とした角度もやります。

もちろん、風はいろんな風がありますから、一度で解るわけがありません。出る度にこれを確認していきます。出れば、微風もあるし、強風もある。それぞれの風で、上り性能を確認します。ある一定条件、この場合は上りのセーリングですが、これをテーマにする事で、意識的なセーリングがなされますから、様々な状況での上りという性能が解ってきます。フルセールで走れる風速はどの程度なのかも解ってくるし、走っていく状況において、セールの角度やどの程度のセールカーブをさせれば良いかも、試行錯誤の中で、少しづつ理解が深まっていきます。

これらはそう簡単に全てが解るわけがありませんが、何度もやって、確認していきますと、マイヨットの性格が具体的に解ってきます。その際の、フィーリングも感じます。これを実行する事のメリットは、ヨットの性能が解るだけでは無く、理解はセーリング全体に及んでいきます。本気と言いましたが、ガチガチになって目指すのでは無く、そういうゲームを気楽に遊ぶ感じです。是非、やってみてください。そう意識してみて下さい。セーリングに面白さを感じて来ると思います。解る事、できる事、それが面白さになっていくと思います。

        

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