第五話 M42



    日本では、デイセーラーというイメージからは、こんなサイズのデイセーラーは考えにくいかもしれませんが、
    大型艇がたくさん存在する欧米では、感覚的な慣れの違いもあるでしょうし、デイセーラーの基本的コンセプトを
    考えた時、それはサイズでは無く、セーリングパフォーマンスとそのシングルハンド仕様ですから、その上での
    セーリングの追求とかもあるかと思います。

    さて、今回の御紹介は、モーリスのM42です。これは、デイセーラー+クルージングタイプ。 本来のクルージング
    を楽しむなら、こういうデイセーリング+クルージングタイプが良いのではと思います。日常にセーリングをより楽し
    めるし、クルージングもできる。現代のクルージング艇は、別荘的に使うには良いのかもしれませんが。

    排水量は7,325kg、バラストは2,800kg、セール面積は70.5uです。 計算しますと、SADRは18.9です。
    一般的な沿岸用クルージング艇とSADRはあまり変わりません。 でも、同じSADR値であっても、排水量はより
    軽く、バラスト重量はより重く、セール面積は小さい。という事は、操作し易いし、安定性は高いという事になります。
    
    こうなると、セール面積をどういうプランにするかで、パフォーマンスは違ってきます。バラストは充分すぎるぐらい
    の重量がありますから、もう少しセールを大きくすると、パフォーマンスは高まります。ここら辺りは、デザイナーが
    どの様な性格をこのM42に与えるかという考え方次第になると思います。

    ついでながら、バラスト比というものがあります。これは復元性を示す要因ではありますが、セーリング中は、その
    セール面積によっても異なるので、あくまでそのヨットが外洋に出て、ひっくり返った時なんかに、元に戻る力として
    考えるべきではないかと思います。ですから、セーリングにおいては、バラスト重量に対するセール面積になると
    思います。もちろん、キールのデザインに寄っても違いますから、単純には計算できませんが。

    という事で、このM42は、楽に走る事。クルージングもOK、そして豪華なヨットです。豪華さは別にしても、通常の
    沿岸クルージングを考えた場合、このヨットが持つキャビンのボリュームでも、充分ではないかと思うのですが?
    因みにこのヨットの幅は3.4mです。クルージング艇なら4m以上でしょう。だからキャビンは広いんですが、その
    ボリュームの圧倒感が気軽さを失わせないか?


  
  
  
  
       

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