第九十七話 アレリオン 38

より高いパフォーマンスと安定性の両立を求めて建造したのが、このアレリオン38です。マストをカーボンにして、メインセールのローチを大きく張り出し、パワフルなセールをデザインしました。ヘルムの左右には、電動ウィンチを採用し、そこから全てのコントロールができるようにしたのも画期的でしょう。

排水量は5,850kg、バラストは2,700kg、セール面積は75.3u このセール面積に対して、このバラストの実質重量がかなり重いので、強風には強い。それでいて、SADRは23.5ですから、スポーティー感もあります。もちろんシングルハンド仕様です。容易な操作とスイスイ走るセーリング、デイセーラーならではです。メインがよりパワフルになったお蔭で、ジブブームを使ったダウンウィンドも、ジェネカー無しでも、スイスイ感が増してます。

デイセーラーが、少し大型化しますと、みんな電動ウィンチが標準になります。それはシングルにおける操船の容易さが目的となりますが、操作は容易でも、どういう時に、何を、どの程度調整するかは任意ですから、そこを楽しむのがセーリングの面白さです。操船は簡単、でも、突き詰めればセーリングは難しい。だから、セーリングのし甲斐があるというものではないでしょうか。

デイセーラーは小型艇という、何となくのイメージをぶち破りました。デイセーラーというコンセプトは、サイズには関係ありません。その用途にあります。シングルハンドとか、セーリング性能とか、そして、そのセーリングを味わう為のセーリングの質感とかです。その後、どんどん大きなサイズが出てきて、今日では、60フィートデイセーラーなんかもあります。小型でも、大型でも、サイズじゃ無くて、セーリング。固定観念を破り、世界は貪欲に楽しんでます。実は、サイズを大きくする事で,デザインする上でメリットがいろいろ生まれます。それについては、まとめて後述したいと思います。是非、下のビデオをご覧ください。

  
  
  
    

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