第八十九話 ハーバー30

ヨットを購入しますと、漏れなくそのヨットの性能が付いてきます。我々は、物としてのヨットを手に入れるというのもあるわけですが、同時に、その性能をも購入しています。だから、どんな性能なのかが気になります。完成されたヨットは、デザイナーと造船所のアイデアが凝縮されたものです。

さて、今回のご紹介はアメリカのハーバー30です。他と少し違うのは、デイセーラーコンセプトにクルージング性をもう少し加えた機能を持っています。でも、基本はデイセーラーで、シングルハンドはもちろん、セーリングパフォーマンスとの両立を狙った艇です。データを見ますと、幅が3.0mあります。これは、一般的なデイセーラーとしては幅が広い。排水量は3,375kg デイセーラーとしてはやっぱり少し重めです。バラストは1,485kg 結構あります。そして、セール面積は49.7uです。排水量が重くなった分、セールを少し大きくしています。SADRは22.3ですから、マイルドなスポーツ性もあって良い感じです。

クルージングを少しだけ強調して、幅を広くし、内装もそれなりを造り、重くなった(デイセーラーとしてはです)。そこに、バラストとセール面積の関係を配分、これがとっても難しいと思いますが、セールは少し大き目ですが、一般クルージング艇と同じぐらいですし、その分、バラストも重いので、強風時にも効果的だと思います。それに、全体の排水量としてはクルージング艇より遥かに軽いので、その分、スポーティーさは高い。デイセーラーでありつつ、クルージングを強調、その意図が解ります.。クルージング艇でもあり、シングルハンドやスポーツ性も併せ持つ。そういうヨットです。ちょっとデイセーラーにしてはボリューム感あります。

  
  
  
  

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