第七十一話 フッド 32

ほんの些細な事で、好きになったり、嫌いになったり。誠に、心は気まぐれですが、ヨットは何かの役に立つわけじゃ無し、ヨットは心の遊びなので、理屈だけじゃ無いですよね。自分の気持ちを大切にするのが良いと思います。但し、ひとつだけ、ヨットのコンセプトだけは、外さない方が良いかなと思います。

さて、今回のご紹介は、アメリカのフッド32、ピュアデイセーラーとも言われます。何故かと言いますと、32フィートもありながら、全くキャビンはありません。この徹底ぶりがピュアと呼ばれる所以かもしれません。
  
  

こんなヨットを選択できるのは、多分、オーナーの心の余裕ではないかという気がします。何も無いが故に、そこが余裕、何でもかんでも要求しない。遊び心で選ぶ。そんな気がします。さて、このヨットの排水量は1、270kgしかありません。それで、セールエリアはわずか26.5u。他のヨットと比べたら、いかにこのセール面積が小さいかが解ります。でも、排水量が軽いですから、その分、SADRは22.8にもなってます。つまり、セールが小さいだけに、非常に操作はし易い。でも、この数値は決して低くない。かなりスイスイ感を感じると思います。バラストは600kgでバラスト比:47.2%です。何も無いが故に、できるのはセーリング、だからこそ気軽に遊べる。愉快なヨットだと思いますね〜。ちなみに、エレクトリックモーターを採用しています。

前にご紹介したマジックドラゴンと言い、このヨットと言い、全くキャビンの無いデイセーラー、しかも、30フィートクラス、何だか、欧米人の遊び心を感じます。ヨットを別荘にする人も居れば、こういうヨットで遊ぶ人も居る。選択が極端なのでは無く、幅が広いのだと思います。アメリカ製はどうも? という方がたまにおられますが、それは勘違い。選択する側も幅が広いが、建造する側も幅が広い。最低から最高迄の幅が広いんだろうと思います。ヨーロッパも同じだと思います。民族の入り混じった文化、価値観のせいかもしれません。
それに対して、日本は選択の幅が狭い、でも、とんでも無いものも無い。それは兎も角、こういうヨットを心から選択できるようになったら、自分自身の心の準備ができたという事ですから、きっと最高に楽しいと思います。

 
  

次へ       目次へ