第六十九話 ハイテクドラゴン

 
 
旅をするヨットがあって、セーリングをするヨットがあります。 デイセーラーは、そのセーリングの奥の深さを、知的に、感性的に味わう旅でもあります。 一切の無駄を廃し、純粋にセーリングを味わう。何と贅沢な旅なんでしょうか。

今回ご紹介するのは、イギリスの造船所、設立は古く、1896年です。ここ25年ぐらいはご存知、ドラゴンを建造している事で知られています。ドラゴンというヨット、1929年にデザインされ、一時期はオリンピック競技にもなっていた様です。懐かしい方も少なくないんではないでしょうか。その造船所が、スペシャルなドラゴンとして、建造したデイセーラーが、このマジックドラゴンです。全長8.9m、幅は1.95mですから、普通のドラゴンと同じ、かなりのスリムさです。デザインはご覧の通り、クラシックデザイン。ところが、中身は、超ハイテクなヨットなのです。

船体はカーボン/フォームコアのサンドイッチ構造、マストもカーボンで、ノーバックステー,まさしく今時のリグ、上の写真はスクウェアートップメインを上げてます。そして、エンジンはエレクトリックで、キールに内蔵。キャビンは無く、物置程度。この見事な徹しぶり、これこそ遊び心満点じゃないでしょうか。気に入った美しいヨットを走らせる。しかも、スイスイ走るなら、他に一体何が要るでしょう? 遊び心がないと乗れませんね、こういうヨットは。しかし、こういうヨットを受け入れる土壌がある欧米、楽しむ事に関してのためらいなんか、無いんでしょうね、きっと。

       
    
  

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